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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

『一流シェフのファミリーレストラン』 (The Bear) 7話 キッチン地獄をワンカットで見せる伝説回

食べ物、家族、仕事や人生をテーマにした新しいコメディーシリーズ。若きシェフのカーミーとともに働くのは一筋縄ではいかないスタッフたち。店や自分自身を変えようと奮闘するうちに、スタッフたちは彼にとっての大事な家族となる。

(ディズニープラス公式サイトより)

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 上記の説明だと、料理人たちの間で起こるドタバタを面白おかしく描いたシリーズのように思えるが、本作は(良い意味で?)大変ストレスフルなシリーズである。

 もし興味のある方は第7話がすごいことになっている、という点だけおさえて頂ければと思う。各話は平均で30分程度にも関わらず、この回だけは21分と異様に短い。ただし、その21分のうち約17分は「ワンシーン・ワンカット」なのである。この切れ目なく続くワンシーンがオープン前の従業員を描くことになるのだが、営業体制の不備は直っておらず、人間関係にも綻びが生じているところに、トラブルが相次いで起こり、最後に地獄の窯が開くことになる。イギリス映画『ボイリング・ポイント』は期せずしてまさにこのような状況を約90分ワンショットで描いており、鑑賞後、胃潰瘍が出来てもおかしくないほど壮絶な傑作(ぜひご鑑賞あれ)だが、そのエッセンスがたったの20分弱で表現できているのだから、これもまた傑作であると言わざるを得ない。ぜひ興味のある方は第一話からこの「沸点」に至るまでをじっくり見届けて頂ければ幸いである。一応補足しておくと、最終話も見事かつ意外な着地を迎えており、こちらも必見回である。