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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

【11月はノワール月間 #noirvember】② 『クリムゾン・キモノ』(1959)

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tinyletter.com

 アメリカの批評家Angelica Jade Bastienのニュースレターにて紹介されていた異色のノワールということで見てみたが、とても面白かった。

 Noir is an exceedingly fascinating, rich genre to use toward interrogating race. This holds true with Samuel Fuller’s gritty masterwork The Crimson Kimono which uses the murder of a showgirl as an entry into the life of Detective Joe Kojaku, played impactfully by James Shigeta. The film is as interested in how this detective navigates various white spaces professionally as well as personally given his love affair with a white woman. It’s stylistically bold and culturally revelatory. 

 

 ノワールは、人種問題を考える上で、非常に魅力的で豊かなジャンルです。サミュエル・フラー監督の傑作『クリムゾン・キモノ』も同様で、ショーガールの殺人事件をきっかけに、ジェームズ・シゲタが名演するジョー・コジャク刑事の人生に迫ります。この映画は、この刑事が単に仕事上だけでなく、白人女性との恋愛を巡る点において個人的にも様々な白人の空間をどのようにナビゲートするかにも関心がある作品です。この作品は、様式的にも大胆で、文化的にも画期的な作品です。

  

 

 日系の描き方がところどころ奇妙ではあったが、白人の親友と恋敵になる展開にやはり人種の壁が立ちはだかる側面や、コジャク刑事がピアノで奏でる(写真上)「赤とんぼ」の旋律が、本人のライトモチーフとして後の劇伴に組み込まれていく演出など、アジア系アメリカ人ノワールにて自然な形で葛藤し、活躍していく様を描いていたことはなかなか画期的なことだと思った。