[PR]カウンター

アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

今年のフランケンシュタイン系映画はまだあるはず『哀れなるものたち』『Lisa Frankenstein』

 ヨルゴス・ランティモス監督、エマ・ストーン主演の『哀れなるものたち』(Poor Things)を見た。この監督主演タッグは短編も入れると三度目の共演らしい。自分もいいコンビだとは思う。『籠の中の乙女』『ロブスター』『聖なる鹿殺し』は後追いで、『女王陛下のお気に入り』は劇場で見たことがある。興味深い映画を撮る監督だし、毎回新作を見ようとは思う。また、鬱屈とした物語の中に、突然とあるボクシング映画が「侵入」し、全てを変えてしまうような展開を用意するところに当初驚きと喜びを覚えたこともある。ただ、やはりその独特な映像表現をどこか楽しめないところも毎回あって、勝手ながら両義的な思いを持っている監督ではある。その今までの思いを踏まえると、今回は奇想天外な話で、相変わらず性的表現がどぎついものの、物語全体として大変観やすい映画になっていて、割と前向きな話になっている。

 話の大枠にあるのは、周知の通り「マッド・サイエンティストが死体を「人造人間」(= 怪物)として蘇生させる」という、メアリー・シェリーの小説『フランケンシュタイン』(1818年)、あるいはユニバーサルの1930年版『フランケンシュタイン』によって知られるようになった定型である。ただ、ここで重要なのが小説ではフランケンシュタインの怪物は、極めて高度な知能を持つ思索する存在である点で、そこは主人公ベラ・バクスターにも引き継がれている。

 『哀れなるものたち』は、引っかかるところはあるにせよ、想像以上に壮大な物語で、美術も素晴らしく、とても完成度の高い映画だと感じた。その一方で、アメリカではLisa Frankensteinという映画が近日公開されるとのことで、そちらが見たくて仕方ない。こういったフランケンシュタインがベースの映画がまだ今年あるということで、やはりこれはセットで見てみたい。

www.youtube.com

 監督はロビン・ウィリアムズの娘であるゼルダ・ウィリアムズ(本作がデビュー長編)、脚本はディアブロ・コーディで、これは期待せずにはいられない。ディアブロ・コーディは、『JUNO/ジュノ』(2007年)で一躍有名になった脚本家で、ジェイソン・ライトマン監督と組んだ『ヤング≒アダルト』(2011年)や『タリーと私の秘密の時間』(2018年)などの脚本を書いている。

 今回の映画は、恐らく『ジェニファーズ・ボディ(2009年)と近いトーンのホラーコメディなのだろう。『ジェニファーズ・ボディ』はカリン・クサマ監督、コーディ脚本・製作総指揮、そして『トランスフォーマー(2007年)でこれまた一躍有名になったミーガン・フォックス主演と、かなり気合の入った企画だったはずなのだが、商業的にも批評的にも振るわなかったものの、近年再評価が進んでいる、言わばカルト映画である。この映画はミーガン・フォックス演じる高校生がサキュバスとなり男たちを次々と餌食にしていくという血みどろな展開を見せる映画だったので、恐らく『Lisa Frankenstein』は予告編を見る限り、スラッシャーホラーの形式に沿って血みどろな展開を見せてくれるようだ。