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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

2020-01-01から1年間の記事一覧

2020年のベスト10

①パラサイト ②ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey ③燃ゆる女の肖像 ④マルモイ ことばあつめ ⑤ハスラーズ ⑥幸せへのまわり道 ⑦ブックスマート ⑧シカゴ7裁判 ⑨エクストリーム・ジョブ ⑩はちどり 『パラサイト』はもはや「殿堂入り」だ。今年観た中…

2020年10月の3点

今月は見たい新作映画がたくさんあって、嬉しい限りだった。その中から2本と、旧作映画1本を選んだ。 ・『シカゴ7裁判』(Netflix) これは映画館で見なければならない、という勝手な使命感を持って、実際に劇場で見ることが出来た。アーロン・ソーキン印の法…

さよならのそのあとのそのあと: 『フェアウェル』後日談

" data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> (『フェアウェル』の結末部分に触れています) " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"> " data-en-clipboard="true"…

2020年9月後半の3点

映画:『テネット TENET』("TENET" (2020); クリストファー・ノーラン監督) 今年ベストだとは言わないが、とにかく一度見ておくべき作品だし、2020年の映画を語る上で欠かせない一本。 ykondo57.hatenablog.com 映画:『鵞鳥湖の夜』("The Wild Goose Lake,"…

『シカゴ7裁判』上映は10/9㈮から!

既にオスカー候補有力と言われているNetflix映画『シカゴ7裁判』がありがたいことに映画館で上映される。言わずと知れたアーロン・ソーキンの脚本・監督作をNetflixで見るのは少し寂しいことだと思っていたので朗報だ。 上映館は以下(↓)のリンクで確認できる…

テネットの理解を諦めた人へ 

クリストファー・ノーラン監督の新作『TENET テネット』は、恐らく2020年下半期唯一の超大作映画となりそうだが、それ以上に本筋を理解できない映画だったと思う。 [SPOILERS] Tenet Timelines Diagram with Relative Time vs Relative Age : tenet 上記のタ…

2020年8月の2点

2021年公開予定の『バットマン』 リブート『スーサイド・スクワッド』の予告映像 THE BATMAN Trailer | NEW (2021) Robert Pattinson, DC FanDome The Suicide Squad - Sneak Peek Trailer (2021) 前情報だと『バットマン』はヒッチコック的なサスペンス要素…

9月前半の3点

9月はまだ半分終わったところだが、ひとまず3点ほど気になった作品を挙げてみる。 映画:『もう終わりにしよう』("I'm Thinking on Ending Things"(2020); チャーリー・カウフマン監督) なぜジェシー・バックリー演じる主人公の服装、職業、そして名前すら…

透明人間のオリジン・ストーリー 『透明人間』

(結末部分に触れています) リー・ワネル監督の前作『アップグレード』の要素もかなり継承した、傑作スリラーである。透明人間のことは別に掘り下げる必要はなく、断片的な情報だけがこちらには与えられ、むしろそのモンスターへの恐怖が増すばかり。何もな…

ニア・ダコスタ監督の名を覚えておく理由

今年の9月に『キャンディマン』がアメリカで公開予定だ。 この映画は、ジョーダン・ピールが『ゲット・アウト』の影響元の一つとして度々挙げている1992年のホラー映画『キャンディマン』の続編だということだ。 そしてこの監督はニア・ダコスタという若手黒…

2020年8月の戦争本・戦争映画

新刊からは『避けられた戦争』(ちくま新書、2020年) を通読。1920年代から日中戦争までの日本の行動を分析している。著者の専門は日米関係史であるからか、第3章「米国の日米移民排斥と反米感情の噴出」の内容がとりわけ印象に残った。タイトルの内容説明と…

エリザベス・モスの世界へようこそ 映画三選 k

今やドラマでも映画でも大活躍中のエリザベス・モスの出演作よりとりわけおすすめしたい3本を選んでみました。 『ザ・ワン・アイ・ラブ(The One I Love) 』(2013)(あえて訳すと『私の愛する人』) 関係が悪化中の夫婦がセラピーとして向かった先にいたのは…

「ずっと家でも書けへん」!という書かれた悩み

どうやら作家による「コロナ禍日記」が世界的にも一種のパターンになっているようだ。色々読んでいて、当初は自虐的というか、自分を責めるような文章が結構多くて、状況の深刻さを物語っていたが、今はもう少し客観的に自分の生活を見つめなおし、そこにあ…

ジュディの助手から、ジュディ以上の存在へ:『ワイルド・ローズ』

今年はとても音楽映画が豊作だ。『ティーン・スピリット』、『ジュディ』、『ポップスター』、『カセットテープ・ダイアリーズ』、そして本作『ワイルド・ローズ』。主人公(ジェシー・バックリー)は、刑務所帰りのシングルマザーとして、二人の子供を育て…

過去⇔現在~『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

主人公は、とにかく、書く、走る、踊る。本作は、アクションに満ちたシークエンスから始まり、その物語を駆動する力を落とすことなく、4姉妹の人生をしっかりと描いていく。本作は、単なる時系列順に物語る直線的な構造とは異なり、しっかりと過去と現在とが…

ブラッククランズマン→ザ・ファイブ・ブラッズ

スパイク・リー監督の『ブラッククランズマン』で本当にクズかつ危険で、見る者に強烈な印象を与えたであろう左の二人が、 同監督のNetflix映画『ザ・ファイブ・ブラッズ』では、その二人は一応良い人?役で登場していたのが、先日見ていて記憶に残った。最…

ありえたかもしれないもう一つの「スター・ウォーズ」 『ブリグズビー・ベア』

2018年上半期に観た映画の中でも特に好きな映画は『パディントン2』だった。そして下半期はこの映画に決まりなんじゃないか、と鑑賞時、既に思っていた。どっちもクマ映画になってしまっているけれど、後者の方が現実そのもの以上にフィクションというもの…

コロナ禍におけるアメリカのテレビ番組とポッドキャスト 

このブログは主に映画についての記事がほとんどであるが、最近だと映画鑑賞と同じくらい、あるいはそれ以上の時間を恐らく海外のポッドキャストを聞くことに費やしていると思う。 ラジオ好きなら理解してもらえると思うが、何かをしながらちゃんと楽しむこと…

『ロケットマン』と『ボヘミアン・ラプソディ』

Rocketman (2019) - Official Trailer - Paramount Pictures 『ロケットマン』を見たが、大変面白かった。セックスドラッグロックンロールの三拍子が揃ったロック映画だった。シビアなところもしっかり描いていて(それでもえげつないところはいくらでもあっ…

ビール映画として見る『愛がなんだ』

『愛がなんだ』をようやく見た。これは屈指のビール映画なのではないか。そもそもそんなジャンルはないことは重々承知の上だが。 主人公田中テルコは金麦(350ml&ロング缶)、マモルはプレモル、ナカハラはエビス(缶&瓶ビール、画像なし)、例外的にすみれは主…

自宅二本立て#2 [『赤ちゃん教育』(1938)&『ヒズ・ガール・フライデー』(1940)]

『赤ちゃん教育』(1938)と『ヒズ・ガール・フライデー』(1940)も外せないコメディの名作です。みんなテンションが異常なほど高くて何言ってるのか分からないマシンガントークが特徴です。特に『赤ちゃん教育』のキャサリン・ヘップバーンがとにかく素晴らし…

自宅二本立て#1 [『好きだった君からのラブレター』(2018)& 『セットアップ』(2018) ]

皆が家にいる時間が必然的に増えてきた今だからこそ、気軽に見られるコメディ二本立てをこれから継続的に挙げていければと思います。基本的にはアメリカのコメディから。とりあえずまずはネットフリックスのラブコメ、『好きだった君からのラブレター』(2018…

新型コロナウイルス関連記事まとめ「いかにこのパンデミックは終息するのか」

新型コロナウイルス(COVID-19)に関する最近の英語記事の中で最もよかったと思う記事が米国The Atlantic紙の著名サイエンスライターEd Yongによる"How the Pandemic Will End"(いかにこのパンデミックは終息するのか)という記事です。 各ニュースサイトから…

2020年 2月 鑑賞録 (長回しなどについて)

‣残念ながら劇場公開はなかった『アンカット・ダイヤモンド』(英:Uncut Gems)、MBA選手や歌手に本人役を演じさせる贅沢な映画であると同時に、70年代のNY犯罪映画を想起させるようなひりひりとした街の「危なさ」が随所ににじみ出ている。バスケ賭博を山場に…

2020年 1月 鑑賞録

‣『パラサイト』や『エクストリーム・ジョブ』については別稿で少し書いた。パラサイトについてはもう少し書いてみたい。 今のところ今年のツートップ。 ‣『ロング・ショット』はとても良かった。去年から期待していた政治ラブコメ。 ‣『ジョジョ・ラビット…

Letterboxdはじめました

何年もFilmarksを映画鑑賞用SNSとして使っていたが、最近letterboxdの方に移行することにした。 https://letterboxd.com/ 基本的に使い方は同じだが、日本版はまだなさそう。映画のリストを作るのにすごく長けているサイトで、さっそく今年の1月から見た映…

あの『パラサイト』からの曲をもう一度

www.youtube.com

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』 はすでに「成功」だと言える理由

日本では、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』(以下"Birds of Prey")の公開を3月まで待たないといけない。しかし、鑑賞前からすでにこの作品は「成功」を収めていると言える。 その理由は3つ。一つは、予告編が素晴らしいから。『スーサイド…

階段映画『下女』#3

『下女』はポン・ジュノ監督もインスピレーションとして挙げている「階段映画」だ。日本語字幕付きの全編をYouTubeで見ることが出来る。 「下女」では、中産層の家庭に下女が入り、住み込みで働く。下女は夫を誘惑して関係を持ち、妊娠する。周りに知られて…

とある「エンターテインメント作品」~『パラサイト』 (#2)

(エクストリーム・ジョブ#1→) 『パラサイト』の「エクストリーム性」は、家族ドラマ、コメディ、スリラーなどの諸要素を内包することで、アートでありながらエンターテインメントとして完全に成立してしまっているところにある。 ポン・ジュノ監督本人が言っ…