[PR]カウンター

アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

2019-01-01から1年間の記事一覧

2019年回顧 (アメリカン・アニマルズ、さらば愛しのアウトローなど)

この投稿で触れる映画の条件としては前書きに書いた通り。 まずは「ドキュメンタリー的」な映画について。当事者たちの語りに対して別人が演じた映像を使うことは決して珍しくないが、その比重が逆転するとき、つまり実話を元にした劇映画の本編にドキュメン…

2019年回顧 まえがきに代えて

去年と似たような形式で2019年に観た新作映画について、何本かの記事に分けて書いていきたいと思います。新作は必ずしも劇場で見ていない配信作やDVDスルーのものも含まれています。ずっと待っていたのに気づいたら未公開作としてソフト化されていたり、アマ…

『アイリッシュマン』短評

端的に言えば、期待以上の出来だったし、今年のベスト級の映画だ。この映画は、スコセッシ監督が生み出してきた一連のギャング映画に一つの重厚感ある終焉をもたらした作品だと思うのだが、それはもちろん既に多くの映画評で指摘されていることだ。 前半の軽…

10月の海外ポッドキャスト

普段からラジオ・ポッドキャストを聴くことが多い。基本、映画を観ている時間よりポッドキャストを聴いている時間の方がはるかに長いと思う。10月に聞いたポッドキャストでは、例えば有名紙New York TimesのStill Processing(映画や音楽など、ポップカルチ…

9月の鑑賞日記

某日 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。無限のフォロワーを生み出したタランティーノ監督の本作には、変わりゆく1960年代のハリウッドへの愛が存分に注がれている。 暴力を凌駕する別の暴力により歴史を改変してしまうタランティーノのパ…

8月に読む戦争本

8月前半はやはり第二次世界大戦関連の特集が数多く放送されていた。そのころに読んでいた本を挙げてみる。理由は、あまり歴史関連の本を普段読まないのだが、この時期くらいには読もうと思ったからと、池内紀の『ヒトラーの時代』に対する指摘がtwitterで話…

スパイダーバース 

2000年代以降から当時の映画を観てきた人たちは、スパイダーマン映画史の生き証人であると言ってもいいだろう。サム・ライミの「スパイダーマン3部作」から始まったこの歴史は、マーク・ウェブ監督によるリブート、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU…

『エンドゲーム』短評紹介 (ネタバレなし)

以下は『エンドゲーム』短評の拙訳だ。コンパクトに注目点がまとまっていたので紹介する。 https://www.vox.com/culture/2019/4/26/18518556/avengers-endgame-review 待望の「アレ」がやってきた。MCUの「インフィニティ・サーガ」の"非"公式な大フィナーレ…

ある一つの終わり エンドゲーム鑑賞後の所感 (ネタバレなし)

一映画ファンとして常に興味を持つのは、一連の映画作品からなるシリーズないしジャンルの「終わり」だ。 1969年公開の西部劇『ワイルドバンチ』は、時代遅れのアウトローたちの末路を衝撃的なラストのアクションシーンでもって描き切った作品だった。本作は…

アカデミー作品賞受賞作『グリーン・ブック』前情報(そんなに「いいハナシ」なのか?)

海外のポッドキャストを普段からよく聞いているのだが、中でも毎週更新が待ち遠しい番組が"Still Processing"で、性的マイノリティ&黒人という二重の意味で少数派の男女二人(Jenna Worsham & Wesley Morris)が、アメリカのポップカルチャーが今日の社会にど…

備忘録:ゴダールの新作はどうなっているのか

ジャン・リュック・ゴダールの新作『イメージの本』が日本で一般上映される日もそう遠くはないはず、なのだがいまいちどういう映画なのか分かっていなかった。そこで、たまたま自分がぶつかった情報を軽くまとめてみた。 まず始点は蓮實重彦。以下のツイート…

ディザスター・アーティスト 映画の中と外

The Disaster Artist Teaser Trailer #1 | Movieclips Trailer 映画の中 アメリカコメディ界の巨匠、ジャド・アパトーが世に問うた『40歳の童貞男』を「ブロマンス映画」(男友達の友情映画)元年とするならば、はや15年近くが経過したことになる。今なお同…

『ソウル・サーチング』(ソウルへGO!, Seoul Searching)

友人に勧められてNetflixにて鑑賞。外国で生まれ育ったティーンが80年代の韓国でサマーキャンプに参加する群像劇。一癖も二癖もある人たちが、盛大にハメを外してバケーションを満喫する中、徐々に自分たちが隠してきた側面も見せるという展開はアメリカ青春…