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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

まさかの"Somebody That I Used to Know" 『ザ・ガーディアン/守護者』 

 思いがけない形で、とても懐かしい曲を映画館で聞くことになった。

 "Somebody That I Used to Know"である。2011年の曲なので、10年以上も前のヒットだということで驚いた。『ザ・ガーディアン/守護者』という韓国映画でこの曲がいわばライトモチーフとして多用されていた。と言っても、使われる部分は、歌唱が始まるまでのイントロだけで、短調ではあるが、木琴の伴奏も伴って場合によっては滑稽な印象も与えるような音楽だと思う。

 この映画自体は、出所したての主人公が足を洗おうとしていたものの、元恋人との間に生まれていた娘を誘拐されたため、自らの過去と対峙せざるをえなくなる犯罪映画で、筋自体は典型的なものだ。ただし、100分もない本編で先ほどの音楽が、主人公の敵である二人組の殺し屋が登場する際に何度も使われており、妙におどけたところもある。主人公はそのうちの一人と車内で交渉して娘を探し出す展開もあり、ロードムービーのような一面も見せる。

 これは主演チョン・ウソンの初監督作で、いわば俳優の監督デビュー映画がこのこじんまりとした味のあるジャンル映画である。彼がイ・ジョンジェとダブル主演した骨太な(しかしユーモアは極力排した)政治サスペンス大作である『ハント』(2023年)が、イ・ジョンジェの初監督作であることを考えると、大変対照的である。