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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

延期され続けた『ニュー・ミュータント』(そして公開すらされない『バットガール』)

 満を持して見た。それほど期待していなかった分、大きな失望もなかったのが実感だ。『ヴェノム レット・ゼア・ビー・カーネイジ』と同様に、90分未満で物語が収束するのは本作最大の強みだったと思う。

 既にインタビュー等で言及があった通り、違う者同士が閉鎖空間に留まることを強いられ、徐々に自らの胸中を明かしていく構図は『ブレックファスト・クラブ』から転用しているが、それと同時に悪夢の現前化という意味では『エルム街の悪魔』を想起させる。公開前に出回っていた画像のショットが完成版になかったことから、作品のトーン調整には随分苦心したのだろうと思う。

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「Xメン」シリーズとしては画期的であるはずだった、青春もの+ホラーの掛け合わせが十分な効果を上げられていない印象を受けたが、その試み自体は評価できると思う。小中規模で他ジャンルを上手く組み込んでいくアメコミ映像作品はマーベルのドラマで作られつつあるので(成功しているのかは判断しがたいが)、『ニュー・ミュータント』の精神はどこかで継承されてはほしい。見られていない「Xメン」映画は複数あるくせに、実験的なXメンドラマの『レギオン』は全話見ている捻くれた人間としての感想としてはこのくらいである。

夢か現か、ヒーローなのかヴィランなのか、終始分からず進行する野心的なドラマ
『レギオン』。ルックスも音楽も60-70年代オマージュなのがとても良かった

 それにしても、延期を繰り返しつつも一応世には出された本作を見ていると、どうしても突如お蔵入りが報道された『バットガール』のことを思い出してしまう。出来がどうであれ、観客に見ること自体を全面的に禁じてしまうのは、大変な不義理だと改めて感じる。

 

今年は3月に『ザ・バットマン』を、年末に『バットガール』を見られたら
最高だなと思っていたのに・・・