・「オリジン・ストーリー」は控えめにして、笑いを散りばめつつ、最低限のことだけ語ってしまう簡潔な語りが良かった。「キャプテン・アメリカいじり」はたしかに若干やり過ぎだったかもしれないが、本人の人となりが分かる描写だったとは思う。
・法廷コメディドラマとしての良さは活かしていると思う。ナンセンスな物言いが許されないはずの法の場にて、超常現象を自らの手で可能にしてしまう人々の弁護をするほかない。この状況の食い合わせの悪さが却って不条理ギャグの要素も加わってなかなか見ていて可笑しい。
・『ワンダヴィジョン』の中盤まで夢見ていた、「小さな画面で視聴する形式の作品だからこそできるMCUドラマシリーズ」が今回は見られるかもしれない。映画館でしか見られないSF冒険譚の興奮と快感を、スマホやテレビでも見られるもので再現できるのだろうか、という問題は常にある。要するに、配信ドラマは配信ドラマの良さがあるのでそこは維持してほしい。
・「第四の壁破り」、つまり作中のキャラクターが視聴者/読者に語り掛ける手法は本作でもよく使われており、これは原作コミックにもある要素であるらしいし、既に『デッドプール』で導入しているものだ。ただ、製作陣は英BBCドラマの『フリーバッグ』 の影響も認めており、たしかにそちらの方が影響の源泉としてしっくり来る。
『ワンダヴィジョン』については↓