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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

2022年10月の3点(ホラーを中心に)

 10月といえばハロウィン、ということで、大体この時期になるとホラーばかり見るような習慣が近年出来た。しかしながら、新作映画はほとんど見ることができなかったので10月の3点は配信作品のみである。

①米Criterion Channelの"80s Horror"特集

’80s Horror

 

②映画『バーバリアン』(2022年、米)(Disney+にて鑑賞可能)

バーバリアン

 

③ドラマ『ミッドナイト・クラブ』(2022年、米)(Netflixにて鑑賞可能)

Netflix新作ホラー『ミッドナイト・クラブ』がギネスを更新!どんな記録?

 

 ①は恐らく全米の配信サービスの中では最も良質なキュレーションを提供しているアメリカのCriterion Channelが10月のホラー強化月間に出してきた看板企画である。ラインアップは30本近くあり、ごく一部しか見ることが出来なかったが、どれも個性的なホラーで日本の配信で見ることが困難な作品も多くあり、大変助かった。1980年代の音楽や映像作品は、自分にとって洋楽洋画の入り口であった一方、今の80年代リバイバルは素直に喜べない(特にポップス)。しかし、ホラーのようなジャンルものはどんどん見ていきたい。初見でとりわけ楽しめた作品はキャサリン・ビガローの初(単独)長編作『ニア・ダーク/月夜の出来事』(1987年)、『ケン・ラッセル白蛇伝説』(1988年)、ジョン・カーペンター監督の『パラダイム』(1987年) など。

 ②は後に書く別稿を参照して頂ければと思うが、本作に関して何も知らないが関心のある人は「民泊ホラー」という単語だけを頭に入れて見て欲しい。今年の新作ホラーは未見作だらけなのだが、ひとまず一本は良作を見ることが出来た。

 ③はネットフリックスに次々と高品質のシリーズを送り出している(という評判の)マイク・フラナガン及びリア・フォングによる配信シリーズである。到底抗うことのできない力により、人間の生命が道具のように扱われ奪われるのがホラーの一つのひな形であるとするならば、本作は末期の病を抱えた若者たちの人生を丁寧に描くことで、その命の重さをしっかりと視聴者に感じさせるホラーでありながら人間ドラマであった。そして、最も素晴らしいと言えるのが本作の構造である。施設の図書館に主要登場人物の8名が集まり、創作怪談を披露するという伝統が「ミッドナイト・クラブ」の集まりと呼ばれてきた。つまり、全10話で1シーズンを成す本作の中に、玉石混交な怪談が差しはさまれ、その大概は一度で完結する。これは1話完結型のテレビドラマらしい構成であり、一種のホラーアンソロジーとしても見ることが出来る。そして各々の話は、ノワール、SF、ファンタジーなど他ジャンルと融合した怪談であり、語り手本人の境遇もフィクションという形で反映されている。このミクロな構造(怪談)と、マクロな構造(施設の謎、死の回避)が有機的に絡み合って物語が展開しており、そこはきちんとドラマシリーズという特性を理解したものになっている。www.criterionchannel.com