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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』

 

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 音を立てると突如襲い掛かる謎の怪物への反撃法が既に判明している本作では、得体の知れない脅威が生み出すホラー要素というよりも、家族(母、長女、長男、そして生まれて間もない乳児)が別々に行動を取ることにより、互いの身を十分に守れる状況にないことから生じるサスペンス要素を強く個人的に感じた。

 オープニングでは、不穏さを十分に醸し出すだけでなく、効率良く物語を進めていく演出が印象的だったし、野球場の何気ない動作が伏線となっていた点や、小さな町のメインストリートから必死になって車で爆走/逃走しようとするシーンもとても良かった。

 また、先述した別行動がもたらす第2幕における諸事態も巧みな編集でまとめられていた。三組の危機を並行して描くだけでなく、それらが絡み合って相乗効果をもたらしていたし、見事に窒息の危機を巡るモチーフや爆発のモチーフなどを並置させて緊迫感を演出していたと思う。

 そして、続編だからと言って無駄に間延びさせず97分で語りきっているのもとても好印象だった。前作が成功だったのには「アイデア勝ち」のところがあると思っていたが、「アイデア負け」せずに本作が批評面でも商業面でも成功したことは自分にとって喜ばしい驚きだった。

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