ファン・ジョンミンが本人役として誘拐されて、知恵と腕っぷしだけで脱出しなければならないーーーという、奇抜な設定には当初半信半疑だったものの、やはり俳優ファン・ジョンミンを巡る評価が結構本筋と関わっていたのは良かった。
最後は2年後に彼の友人パク・ソンウンが自分の役を演じていて本人が複雑な表情をしているところから、どうやら彼はPTSDを抱えていてなかなかそれを公表できずにいることが分かるし、なんでも「実話ベース」として、フィクション要素も組みこんで見ごたえのある映画に仕上げてくる業界の特徴をとらえているような気はした。そもそも写真を拒んだところから展開していく誘拐劇が、笑みを浮かべた写真に応じることで終わる(しかも誘拐の主犯にそっくりな役者と)ところが憎い。いやしかし、こんなメタ映画に出てしまったらもうファン・ジョンミンは警官だのヤクザだの演じられるのか?