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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

2021年10月の3点 

『アイダよ、何処へ?』(ヤスミラ・ジュバニッチ監督、ボスニア他)

 同監督の『サラエボの花』は未見なのだが、この映画には圧倒された。窓の外を眺める横顔、そしてフェンスごしに見える顔を真正面で捉えるショットがとても印象的だった。ちなみに、本作における最大の問題は、セルビア軍に対する空爆を要請しても、国連が一向に動かないというところだったが、最終的に空爆はされている。それを踏まえると、あの終盤の「再会」の意味も少し変わってくるかもしれない。

Where Do We Go Now with Quo Vadis, Aida?, by Adnan Mahmutović | World  Literature Today

『キャンディマン』(ニア・ダコスタ監督、アメリカ)

 同タイトルの1992年版作品の「精神的続編」という前情報の意味がよく分かっていなかったのだが、実際に観てみて納得した。今年の新作ベスト10に容易に入るであろう傑作。オリジナルよりもさらに上映時間が短いのも素晴らしい。

Candyman 2021 — Medium Popcorn Podcast

『007 ノー・タイム・トゥ・ダイ』(キャリー・ジョージ・フクナガ監督、イギリス)

 あまり007シリーズに思い入れのない人間としての所感でしかないが、あのエンディングは悪くなかったと思う。フクナガ監督の作品も、知っていたのが『トゥルー・ディテクティブ』シーズン1及び『マニアック』と、ドラマしかなかったのだが、お得意の長回しアクションがボンド映画でも健在だった。

No Time to Die ending explained - how Daniel Craig's 007 era ends

 

 今月見た旧作だと、やはりハロウィンということでホラー映画を重点的に見た。面白かったのは、米Criterion Channelにおけるエドガー・ライト選の作品群からだと、『狂っちゃいねえぜ』(Beat Girl; 1959年、イギリス)及び『モデル連続殺人!』(Blood and Black Lace; 1964年、イタリア)の2本をまず挙げておきたい。『ラスト・ナイト・イン・ソーホー』でどういった展開を期待できるのか、部分的には分かってきたような気がする。

 ユニバーサル・ホラーに関して言うと、『フランケンシュタインの花嫁』(1935年)の唐突さに思わず笑ってしまい、『大鴉』(1935年)では、エドガー・アラン・ポー作品のファンであるマッド・サイエンティストが作った「ポーの闇の遊園地」にこれまた失笑してしまった。ユニバーサルが、歴史に残る英米文学諸作品をキッチュな形で使ってしまう「バカバカしさ」は大いに買いたい。

 あとは、2018年版の『ハロウィン』も初めて見てみたが、うまくジェンダー的図式を転倒させており、なかなか良かった。