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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

過去⇔現在~『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』

主人公は、とにかく、書く、走る、踊る。本作は、アクションに満ちたシークエンスから始まり、その物語を駆動する力を落とすことなく、4姉妹の人生をしっかりと描いていく。本作は、単なる時系列順に物語る直線的な構造とは異なり、しっかりと過去と現在とが…

ブラッククランズマン→ザ・ファイブ・ブラッズ

スパイク・リー監督の『ブラッククランズマン』で本当にクズかつ危険で、見る者に強烈な印象を与えたであろう左の二人が、 同監督のNetflix映画『ザ・ファイブ・ブラッズ』では、その二人は一応良い人?役で登場していたのが、先日見ていて記憶に残った。最…

ありえたかもしれないもう一つの「スター・ウォーズ」 『ブリグズビー・ベア』

2018年上半期に観た映画の中でも特に好きな映画は『パディントン2』だった。そして下半期はこの映画に決まりなんじゃないか、と鑑賞時、既に思っていた。どっちもクマ映画になってしまっているけれど、後者の方が現実そのもの以上にフィクションというもの…

コロナ禍におけるアメリカのテレビ番組とポッドキャスト 

このブログは主に映画についての記事がほとんどであるが、最近だと映画鑑賞と同じくらい、あるいはそれ以上の時間を恐らく海外のポッドキャストを聞くことに費やしていると思う。 ラジオ好きなら理解してもらえると思うが、何かをしながらちゃんと楽しむこと…

『ロケットマン』と『ボヘミアン・ラプソディ』

Rocketman (2019) - Official Trailer - Paramount Pictures 『ロケットマン』を見たが、大変面白かった。セックスドラッグロックンロールの三拍子が揃ったロック映画だった。シビアなところもしっかり描いていて(それでもえげつないところはいくらでもあっ…

ビール映画として見る『愛がなんだ』

『愛がなんだ』をようやく見た。これは屈指のビール映画なのではないか。そもそもそんなジャンルはないことは重々承知の上だが。 主人公田中テルコは金麦(350ml&ロング缶)、マモルはプレモル、ナカハラはエビス(缶&瓶ビール、画像なし)、例外的にすみれは主…

自宅二本立て#2 [『赤ちゃん教育』(1938)&『ヒズ・ガール・フライデー』(1940)]

『赤ちゃん教育』(1938)と『ヒズ・ガール・フライデー』(1940)も外せないコメディの名作です。みんなテンションが異常なほど高くて何言ってるのか分からないマシンガントークが特徴です。特に『赤ちゃん教育』のキャサリン・ヘップバーンがとにかく素晴らし…

自宅二本立て#1 [『好きだった君からのラブレター』(2018)& 『セットアップ』(2018) ]

皆が家にいる時間が必然的に増えてきた今だからこそ、気軽に見られるコメディ二本立てをこれから継続的に挙げていければと思います。基本的にはアメリカのコメディから。とりあえずまずはネットフリックスのラブコメ、『好きだった君からのラブレター』(2018…

新型コロナウイルス関連記事まとめ「いかにこのパンデミックは終息するのか」

新型コロナウイルス(COVID-19)に関する最近の英語記事の中で最もよかったと思う記事が米国The Atlantic紙の著名サイエンスライターEd Yongによる"How the Pandemic Will End"(いかにこのパンデミックは終息するのか)という記事です。 各ニュースサイトから…

2020年 2月 鑑賞録 (長回しなどについて)

‣残念ながら劇場公開はなかった『アンカット・ダイヤモンド』(英:Uncut Gems)、MBA選手や歌手に本人役を演じさせる贅沢な映画であると同時に、70年代のNY犯罪映画を想起させるようなひりひりとした街の「危なさ」が随所ににじみ出ている。バスケ賭博を山場に…

2020年 1月 鑑賞録

‣『パラサイト』や『エクストリーム・ジョブ』については別稿で少し書いた。パラサイトについてはもう少し書いてみたい。 今のところ今年のツートップ。 ‣『ロング・ショット』はとても良かった。去年から期待していた政治ラブコメ。 ‣『ジョジョ・ラビット…

Letterboxdはじめました

何年もFilmarksを映画鑑賞用SNSとして使っていたが、最近letterboxdの方に移行することにした。 https://letterboxd.com/ 基本的に使い方は同じだが、日本版はまだなさそう。映画のリストを作るのにすごく長けているサイトで、さっそく今年の1月から見た映…

あの『パラサイト』からの曲をもう一度

www.youtube.com

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』 はすでに「成功」だと言える理由

日本では、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』(以下"Birds of Prey")の公開を3月まで待たないといけない。しかし、鑑賞前からすでにこの作品は「成功」を収めていると言える。 その理由は3つ。一つは、予告編が素晴らしいから。『スーサイド…

階段映画『下女』#3

『下女』はポン・ジュノ監督もインスピレーションとして挙げている「階段映画」だ。日本語字幕付きの全編をYouTubeで見ることが出来る。 「下女」では、中産層の家庭に下女が入り、住み込みで働く。下女は夫を誘惑して関係を持ち、妊娠する。周りに知られて…

とある「エンターテインメント作品」~『パラサイト』 (#2)

(エクストリーム・ジョブ#1→) 『パラサイト』の「エクストリーム性」は、家族ドラマ、コメディ、スリラーなどの諸要素を内包することで、アートでありながらエンターテインメントとして完全に成立してしまっているところにある。 ポン・ジュノ監督本人が言っ…

エクストリーム・ジョブ(#1)

「1000万映画」という言葉が韓国ではあるように、映画受容の勢いは凄まじく、大衆文化としての相当な熱さが伺える。 今年初めて劇場で観た韓国映画は、『エクストリーム・ジョブ(極限職業)』は国内歴代第二位の観客動員数を記録した、メガヒット作。 (htt…

2019年回顧 (アメリカン・アニマルズ、さらば愛しのアウトローなど)

この投稿で触れる映画の条件としては前書きに書いた通り。 まずは「ドキュメンタリー的」な映画について。当事者たちの語りに対して別人が演じた映像を使うことは決して珍しくないが、その比重が逆転するとき、つまり実話を元にした劇映画の本編にドキュメン…

2019年回顧 まえがきに代えて

去年と似たような形式で2019年に観た新作映画について、何本かの記事に分けて書いていきたいと思います。新作は必ずしも劇場で見ていない配信作やDVDスルーのものも含まれています。ずっと待っていたのに気づいたら未公開作としてソフト化されていたり、アマ…

『アイリッシュマン』短評

端的に言えば、期待以上の出来だったし、今年のベスト級の映画だ。この映画は、スコセッシ監督が生み出してきた一連のギャング映画に一つの重厚感ある終焉をもたらした作品だと思うのだが、それはもちろん既に多くの映画評で指摘されていることだ。 前半の軽…

10月の海外ポッドキャスト

普段からラジオ・ポッドキャストを聴くことが多い。基本、映画を観ている時間よりポッドキャストを聴いている時間の方がはるかに長いと思う。10月に聞いたポッドキャストでは、例えば有名紙New York TimesのStill Processing(映画や音楽など、ポップカルチ…

9月の鑑賞日記

某日 『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』。無限のフォロワーを生み出したタランティーノ監督の本作には、変わりゆく1960年代のハリウッドへの愛が存分に注がれている。 暴力を凌駕する別の暴力により歴史を改変してしまうタランティーノのパ…

8月に読む戦争本

8月前半はやはり第二次世界大戦関連の特集が数多く放送されていた。そのころに読んでいた本を挙げてみる。理由は、あまり歴史関連の本を普段読まないのだが、この時期くらいには読もうと思ったからと、池内紀の『ヒトラーの時代』に対する指摘がtwitterで話…

スパイダーバース 

2000年代以降から当時の映画を観てきた人たちは、スパイダーマン映画史の生き証人であると言ってもいいだろう。サム・ライミの「スパイダーマン3部作」から始まったこの歴史は、マーク・ウェブ監督によるリブート、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU…

『エンドゲーム』短評紹介 (ネタバレなし)

以下は『エンドゲーム』短評の拙訳だ。コンパクトに注目点がまとまっていたので紹介する。 https://www.vox.com/culture/2019/4/26/18518556/avengers-endgame-review 待望の「アレ」がやってきた。MCUの「インフィニティ・サーガ」の"非"公式な大フィナーレ…

ある一つの終わり エンドゲーム鑑賞後の所感 (ネタバレなし)

一映画ファンとして常に興味を持つのは、一連の映画作品からなるシリーズないしジャンルの「終わり」だ。 1969年公開の西部劇『ワイルドバンチ』は、時代遅れのアウトローたちの末路を衝撃的なラストのアクションシーンでもって描き切った作品だった。本作は…

アカデミー作品賞受賞作『グリーン・ブック』前情報(そんなに「いいハナシ」なのか?)

海外のポッドキャストを普段からよく聞いているのだが、中でも毎週更新が待ち遠しい番組が"Still Processing"で、性的マイノリティ&黒人という二重の意味で少数派の男女二人(Jenna Worsham & Wesley Morris)が、アメリカのポップカルチャーが今日の社会にど…

備忘録:ゴダールの新作はどうなっているのか

ジャン・リュック・ゴダールの新作『イメージの本』が日本で一般上映される日もそう遠くはないはず、なのだがいまいちどういう映画なのか分かっていなかった。そこで、たまたま自分がぶつかった情報を軽くまとめてみた。 まず始点は蓮實重彦。以下のツイート…

ディザスター・アーティスト 映画の中と外

The Disaster Artist Teaser Trailer #1 | Movieclips Trailer 映画の中 アメリカコメディ界の巨匠、ジャド・アパトーが世に問うた『40歳の童貞男』を「ブロマンス映画」(男友達の友情映画)元年とするならば、はや15年近くが経過したことになる。今なお同…

『ソウル・サーチング』(ソウルへGO!, Seoul Searching)

友人に勧められてNetflixにて鑑賞。外国で生まれ育ったティーンが80年代の韓国でサマーキャンプに参加する群像劇。一癖も二癖もある人たちが、盛大にハメを外してバケーションを満喫する中、徐々に自分たちが隠してきた側面も見せるという展開はアメリカ青春…