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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』 はすでに「成功」だと言える理由

 日本では、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』(以下"Birds of Prey")の公開を3月まで待たないといけない。しかし、鑑賞前からすでにこの作品は「成功」を収めていると言える。
 
 その理由は3つ。一つは、予告編が素晴らしいから。『スーサイド・スクワッド』の予告編における「ボヘミアン・ラプソディ」の使い方がこの上ない出来だったことを思い出せばいいかと思うが、本編より予告編の方がはるかにわくわくするし面白いという困った前例をDCEU(DC Extended Universe)は作ってしまった。*1
 そのことを踏まえると、『Birds of Prey』に少しばかりの不安要素が残るのだが、いずれにせよ『愛の賛歌』(もちろんエディット・ピアフのオリジナル)をとても効果的に使った予告編だったと思う。予告編というものはそもそも映画というより、PVみたいなもので、印象的な音楽と印象的なシーンをテンポよくつなぎ合わせれば*2成立しそうなものだが、ここまで予告編単独で「立つ」ものはなかなかないと思っている。*3
 
 もう一つは、監督も役者もほとんどが女性を起用しているから。『ブラックパンサー』のキャストの多くが女性であったことや、『キャプテン・マーベル』では監督も主役も女性、という変化がマーベル映画に見られる。しかし、後者に関しては『ワンダーウーマン』が数年先に女性タッグを組んでおり、全ての面でMCU(Marvel Cinematic Universe)が先陣を切っている訳では決してない。作品そのものでは結構苦労しているシリーズではあるが、ワーナーは結構マーベルもやってこなかったことをさらっとやっている組織ではある。そこはちゃんと観客も分かっているべきだ。しかも、監督はアジア系アメリカ人の監督だ。今までアジア系アメリカ人を主人公にした映画に注目が集まる中、女性かつアジア系の監督がアメコミ大作を任されるということは、相当珍しいことだと思う。
 
 最後は、最高の飛び蹴りシーンが予告編で見られたから。飛び蹴りとは韓国映画の専売特許のようなものだと勝手に思っているが、個人的に見た中では2020年において最も早いタイミングで見た飛び蹴りだったのでこれも勝手に書き記しておく。

*1:というか、この曲をユーモアとリスペクトをもって使っていたのは『ウェインズ・ワールド』の名シーンであり、おそらくそれをこの予告編は参考にしていることは間違いないと思う

*2:もちろん、言うは易し行なうは難し

*3:日本では日本語カバーのバージョンも相当お馴染みな曲だろう。これ、例えばアメリカ人にとっても、『ボヘミアン・ラプソディ』ほどではないにしても、割とベタな選曲だと思う