トムが起きる!トムが打つ打つ撃つ!落ちる落ちる落ちる!
大画面に映っていたトム・クルーズはイーサン・ハントでありながら、やはりトム・クルーズであった。ヒット・シリーズ、ミッション:インポッシブルというフィクションにおいて主人公イーサン・ハントは、乱暴に言えば向こう見ずで「どうかしている」男以外の何物でもない。替えの効かない仕事に憑りつかれ永遠に前進のみを続ける男だ。
しかし、トム・クルーズはそのフィクションと自分の生きる現実世界との壁を打ち破った。あくまでも映画は映画だと割り切った上でCGやスタントに全てを任せるようなことを彼は決して選ばない。明白なリスクから身を置くことで担保されていた、程よいフィクションとリアルとの距離は、この作品の場合もはやほぼないに等しい。
イーサン・ハントの無謀な挑戦は、トム・クルーズの無謀な挑戦なのだ。