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アメリカンに映画を観る!

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

暗黒街の顔役 80年前からあったバイオレンス+コメディ

 ギャング映画好きなら必ず見たことがあるだろう『スカーフェイス』はこの映画のリメイク。それを念頭に置いた上で観てみたが、結構驚いた。
 

 というのも、物語の前半が思ったよりコメディチックだったからだ。有名なマフィアのアル・カポネを下敷きにした主人公トニー・カモンテは、あのジョーカーのような軽やかな語り口でもって周りと接する。もちろんそれは常に暴力の匂いがする会話であって、緊張感が絶えないことも印象に残る。そんな彼と特に「秘書」とのやりとりがあるのだが、それが何とも言えず可笑しい。

 

 敵のマフィアから突如マシンガンによる奇襲を受けるシーンがあるのだが、秘書の彼は電話ごしに必死に相手の名前を聞き取ろうとする。そんな場合じゃないのに。わざわざエンタメ作品として身体を張ったギャグを見せてくるセンスに驚いた。それゆえにモラルなきバイオレンスが浮彫りになり、後半の怒涛の展開とのコントラストが強まっている。

 

 随分前のブログでマーティン・スコセッシ監督の『ディパーテッド』について書いた投稿で、Xマークが登場人物の死を予言している、という点について触れたと思うが、その元ネタはこの映画(→https://m00ch.wordpress.com/2010/10/10/scarface-1932-and-its-x-motif/)。隠れミッキーのごとく、Xたちは様々に形を変えて登場していた。

 

 映画評論家の町山智浩が昔、大好きだった蓮實重彦が『スカーフェイス』のことを『暗黒街の顔役』に対する冒涜(=下品)だとか何とか言ったことに憤慨していた(が、オリジナルを見てみると、この作品自体のクオリティやインパクトはものすごいなと思った。どっちも好きな映画だし、甲乙はつけがたいですが。