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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

さよならのそのあとのそのあと: 『フェアウェル』後日談

 
 
 
 (『フェアウェル』の結末部分に触れています)
 
 
 
 
 
 
 
 
 主人公の祖母がどうなるのか分からないまま考えながら見ていると、本編の最後に本人は現在でも健在であることが明かされる。ここで若干この悲喜劇のトーンが明るくなるわけだが、この舞台裏にはまだ続きがあったことを監督自身がインタビューで答えている。
 
 ルル・ワン監督によると、順調に映画製作は進んでいくはずだったのだが、ルルの健在な祖母は、"いまだに"本人がガンと診断されていることを知らされていなかったのだ。今も祖母が住んでいる長春市で撮影をしていたにもかかわらず、孫が撮っている映画の内容を伝えられない、という状況が発生していた。したがって、私たち家族の話、それも中国を離れてアメリカに行って、また戻ってきて、結婚式があって、文化の衝突もあって!といった風に、完全なウソにならないような説明をしていたらしい。物語の中心に大きなウソを据えた本作の撮影も、同じような構図になっていたという皮肉があったのだ。
 
 
それにしてもこの映画のショットはどこを取ってもとても良いなと思っていました。
結婚式で家族が集まっている場面、お墓で皆が執拗に礼ばかりしている場面、亡くなった祖父のタバコの煙だけが残っていく場面などが挙げられます。あとは鳥が3度ほど登場しますが、あのシーンも主人公の感情をうまく表現していて印象に残っています。