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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

とある「エンターテインメント作品」~『パラサイト』 (#2)

(エクストリーム・ジョブ#1→) 『パラサイト』の「エクストリーム性」は、家族ドラマ、コメディ、スリラーなどの諸要素を内包することで、アートでありながらエンターテインメントとして完全に成立してしまっているところにある。
 
ポン・ジュノ監督本人が言っているように、彼は「ジャンル映画の監督」であって、社会派のシリアスな映画を撮ることが唯一の目的では決してない。そもそも、日本の宣伝文句を見ても、パルムドールをたしかに獲ったはずの映画作品を「超一級のエンターテインメント作品」と断言できてしまう辺りに、賞レースに勝てるだけの力と、観客が最後までスクリーンに映し出されるものを見なければいけない、と思わせるだけの力、その両方が備わっていることの証左がある。同じことを決して去年のパルムドール受賞作『万引き家族』には言えないだろうし、そもそもそういう類の映画では決してない。この映画は「格差社会」を描いているという点、そしてそれを象徴するものの一つとして「階段」がある、という点くらいは言及してもいいかと思うが、(→下女#3)