[PR]カウンター

ポークとビーンズ

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

『シング・ストリート』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

 遅ればせながら『シング・ストリート』(アイルランド、2016年)を観ました。音楽と人間関係における喜びにあふれた映画で、観ていて楽しかったです。

 このブログはアメリカ映画を主に扱うブログなので、一応アメリカ映画と絡ませて話を広げたいと思うのですが、この映画は「向こう岸」に見えるイギリスそして遥か彼方にあるアメリカのポップカルチャーへの憧れが強い作品で、デュラン・デュランザ・キュアーホール&オーツ(挿入曲"Drive It Like You Stole It"は明らかに彼らの"Maneater"を元にして作られている)などの楽曲が登場しています。それを見ているだけでも面白かったのですが、個人的に結構気になったのが、『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(以下BTTF)への言及があったことです。

 主人公が結成したバンドのPVを作るにあたって、彼らはBTTFに出てくる50年代の高校のパーティー(プロム)を参考にするのです。要するに、当時(1985年)のアメリカにて描かれた1950年代の「古き良きアメリカ」の1ページ(それが単に幻想にしかすぎなかったのでは?という歴史的指摘については例えばディヴィット・ハルバースタムの『ザ・フィフティーズ』が参考になります)が海を越えて同時代のダブリンの高校生に届いて・・・という流れを約30年後の2016年にまた描く、という形で何重にもアメリカのイメージが再生産されていくのです。こうやってリアルタイムで生きてこなかった人間が、ある時代に憧れていくんだろうな、と思う訳ですが。

 ちなみに、この映画は1985年のダブリンが舞台ですが、実際にBTTFが上映されたのは1985年の12月だったそうで、登場人物が既にその映画を観ていたという設定は本当はおかしいそうです。ノスタルジーの中にアナクロニズム(時代錯誤)が潜んでいた、という点は興味深いと言えるかもしれません。

www.imdb.com