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ペンタゴン・ペーパー スパイスリラー✖女性のエンパワーメント映画

ペンタゴン・ペーパーズ』、前評判に負けぬ面白さの映画だ。上半期見た映画を振り返ってみると、この映画の残した印象はとりわけ強いことに気づく。

 というのも、言論の自由とは?真実とは?という問題を新聞社の人間たちが追求する映画だと思ってみていたら、スパイスリラー的な要素満載でなおかつ女性のエンパワーメントを巡る映画だったから。

 前者に関して言えば、冒頭からベトナム戦争のハードな描写が登場する。その直後にアメリカの記者がアメリカ政府の機密文書のコピーを密かに大量に取る場面があるが、この展開がまさしく冷戦期のアメリカのひりひりした状態を如実に語っている。

 さらにこの映画は、半世紀前のアメリカ社会、すなわち新聞社がほとんど男性で構成されている環境で、トップの女性ケイ・グラハム(メリル・ストリープ)がどういった判断を下すのか、という一点に物語が収斂していく。

 この点に関しては、新聞社の重役会議あるいは銀行との会議でドアを開けるとそこには高級スーツを身にまとった”おじさん”しかいない、というシーンが数回登場することに象徴されている。これは『羊たちの沈黙』で、FBI捜査官の主人公クラリスが他の女性がほとんどいない職場環境で、上司にいきなりセクハラ発言をされたり、女性だからという理由でどこか下に見られたりしながら仕事をしないといけない状況に似ている。

 現在の日本の報道機関とこの映画で描かれるアメリカの新聞社を評論の中で比較している印象がしているが、一人の女性が自らの信念を見出しそれに従うというストーリーも今日的意味を十分に持っていることを忘れてはならないだろう。