[PR]カウンター

アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

猿の惑星 新世紀から一年

 気づけば、あの『猿の惑星:新世紀』からもう一年が経つ。

 このブログで感想はまだ書いていなかったものの、かなりの傑作だった。猿対人間の抗争の構図に、人間社会における(あるいは国際社会における)避けられなかった闘いの構図を見出した人々は多くない。というか、むしろその戯画的構造について考えざるをえないような迫力のある映画になっていた。長寿ポッドキャストの、Filmspotting(米国でのポッドキャストでは上位を占める)では、この映画にシェイクスピア的なものを感じ取っていた。正直なところ、どの構図が最も適しているかはそこまで問題ではなく、むしろそれほどの普遍性を一本の映画にきちんと付与出来たことこそが重要だろう。

 ただ、個人的にそれだけでこの映画を「かなりの傑作」と呼んだかどうか、今ではわからない。しかし、『モールス』『クローバーフィールド』を手掛けた、マット・リーブス監督であるだけあって、長回しのシーンにはぐっと来た。コバが人間たちの戦車を奪って、それを乗り回すシーンでは、その迫力もさながら、醜い戦いをぐるりと360度一望出来てしまうことで、観客はその陰惨さを思い知らされることになる。また、どこに敵の猿が隠れているか分からぬ状態で、空き家を息を殺して主人公が歩く長回しにもかなりサスペンスがあって、見ごたえのあるワンシーンだった。

 このように、大まかなプロットももちろんだが、カメラワークをとっても、傑作と言って申し分のない出来の映画だったと思う。何せ、登場していたのが猿であることをすっかり忘れていたし。