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「本当は悲しい」サタデー・ナイト・フィーバー

 生まれてもいないし、リアルタイムで見聞きした訳もないが、私の場合、どうも好みの音楽となると、60年代~80年代初頭までの洋楽がほとんどだ。

 その当時に爆発的に売れたサウンド・トラックというとサタデー・ナイト・フィーバーのそれが瞬時に思い浮かぶ。

 同世代の人間でも、多分『ステイン・アライブ』なら聞き覚えがあると思う。

 


Bee Gees - Stayin' Alive (1977) - YouTube

 サントラの収録曲をぱっと聴く限り、楽しそうな映画なのか、と思える。

 

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 映画のポスター↑からも、きらびやかなディスコという小宇宙で若者たちが人生を謳歌しているかのような印象を受ける。

 ただ、この映画を観れば、そんな印象は覆される。この映画に登場する若者たちは苦悩の連続を経験する。実生活が辛く、決して直視したいと思えないから、彼らはディスコに繰り出すのだ。

 そもそも、ジョン・トラボルタ演じる主人公もその最たる例だ。彼の家庭は裕福ではないし、夕食の場でも両親は口論し始める。金物屋で働いてはいるが、このまま出世も出来そうにない。

 だから、彼はディスコフロアで毎週土曜日輝こうとする。実際彼はその時だけは”キング”になれる。皆にも一目置かれている。現実逃避の手段として描かれるダンスシーンは、ものすごく楽しいんだけれど、そもそも彼らがそこで踊っている理由を考えるとものすごく辛い。

 

 この映画で象徴的なものは、である。彼の地元ブルックリンとスタテンアイランド(もっと都会)を結ぶ橋である。彼はその橋を渡って、より豊かな生活を送ろうと思っている。でも、彼は渡れない。車で移動しているのだから、足がない訳では全くない。実はこの映画の中盤で一度その橋を渡るのだが、またすぐに戻ってしまう。

 

 しかしながら、この映画のクライマックスでは、彼はとうとうその橋を渡ることになる。そこで、この映画を彼の青春物語、成長物語とするのは容易だが、そのための代償はかなり大きかった。彼の世界では一人だけが自分勝手に、向こう岸へと旅立つことは許されないのだ。彼の一部はそれゆえに必然的に犠牲になる必要があった。痛みを伴う彼の旅立ちであった。

 

 彼は”2001 Odyssey(2001年宇宙の旅)”というディスコで、虚無に満ちた栄光を一身に受けた。そして彼は、キューブリックの映画のように、次のステージへと進むことが出来た。ただ、それは手放しで喜べるようなものとしてこの映画では描かれていない。ハッピーエンドなのだろうけど、個人的には悲しみに満ちた(だがそれはそこまできちんと描かれない)ダンス映画です。