インターステラーについての解説(感想というよりも)をここではしたいと思います。
ネタバレ注意!!一問目からガンガンネタバレするので!!
・「彼ら」って誰?
端的に言えば、5次元の世界(後で詳述)に存在する生命体のこと。人間という存在をも超越した存在で、人類に何らかの助けの手を差し伸べているのではないか、とNASAにより推測されていた。
ただ、物語の終盤で明らかになる通り、「彼ら」とは、進化を遂げた人間のことであって、「幽霊」は、「まだ俺はマーフの幽霊になれないんだよ」と言っていたクーパー自身だったことが分かる。
「2001年宇宙の旅」との関連性がこの映画ではよく言われるが、それはまさしく両方の映画が、「3次元以上のレベルで存在する宇宙人が人類を進化の道へと導く」話であることが一番大きい。(詳しくは
映画の見方がわかる本―『2001年宇宙の旅』から『未知との遭遇』まで (映画秘宝COLLECTION))
ちなみに、町山智弘氏が自身のツイッターでほのめかしていた通り、『ダニー・ダーコ』のプロットの裏側には「彼ら」が存在しているらしい。
・あの冒頭のインドの無人機は何のために出てきた?
冒頭、インド空軍のドローンがなぜ主人公の家のそばにやってきたのか意味不明という声を聞いた。機械いじりが得意な元エンジニアって役柄を説明するだけじゃないことは分るよね。まあ、これ以上は言うまい。RT:『インターステラー』コラム http://t.co/ijlN8MMaPv
— 清水 節 SHIMIZU Takashi (@Tshmz) 2014年11月29日
上にあるように、それ以上の理由はある。
海外サイトの投稿にて指摘があったが、 これはドローン(無人機)の部品を家に持ち込んでから、「重力の異変」にマーフが気づく訳で、あれがなければ人類は滅びていたかもしれないのだ。あれは未来の人類なる存在からの贈り物のようなもの(だろう)。
・マーフィーの法則の話をする意味は?
マーフィーの法則は、「起こりうることは、起こる」という半分迷信めいた言葉だが、クープが説明している通り、ネガティブな意味だけで使われる訳ではない。これは、大きな伏線になっている。実際、「起こりうること」(=クープのメッセージにより、マーフが重力の謎を解き明かす)が起こった。
・アメリア・ブランド博士が言った「愛は時空を超越する」って、何か意味があったの?
あれも伏線。
当初は、ブランドは感情に流されて誤った判断を下しかけていたように思われたが、マン博士の裏切り(Mann = "Man" =つまり人類の意なので、非常に皮肉なネーミングになっている)によって、彼女の判断は最終的には正しかったことが分かる。
さらに、ブランドに賛同しなかったクーパーも、娘への愛の力を信じてやまなかった(5次元空間にいながら)。父から娘へと渡された時計を、彼女がまた取りに来ると信じていたのは、まさしく愛によるものだった。ブランド博士の直感は最初から正しかったのだ。
・5次元って何だ?
こればかりは、専門知識に欠ける身なので、間違っていたらご指摘いただきたいのだが、分かりやすく説明しているサイトがあったので、それに沿って説明するとこうなる。
1次元は、「線」、2次元は、「平面」、3次元は、「立体」ということはよく言われるかと思う。そして、4次元というものは、3次元に時間を足したものだと言われる。今我々は、「現在」という時間においてしか生きることが出来ない。30分前、あるいは5分後の出来事を、実際に見たり聞いたりすることは、出来ないが、4次元では、それがいかなる時間においても可能になる、ということらしい。映画でもあったように、無限に過去および未来のものが現前している状態のことを指す(らしい)。
ただ、映画で描かれたのは5次元だ。5次元というものは、4次元プラス、「可能性すべてを掌握」出来る次元らしい。
たとえば、10分前水を飲んでいた自分がいるとする。その自分は、何事もなく水を飲み終えたのだが、もしかしたら、その水をこぼしていた自分、あるいはコップを割ってしまった自分もいるかもしれない。そういったあらゆる可能性が現前した状態が5次元らしい。クープが、マーフの部屋の様子をあらゆる時間幅から観察することが出来たが、あの中には、劇中で私たちが見ていない、他の可能性(たとえば、マーフが鉛筆を落とす、とか幽霊が怖くなって部屋を出るとか)もそこにはあるはずなのだ(そこまでやっていたら、映像化が出来なくなってしまうが)。
(おまけ)
適当についている訳ではない、名前いろいろ
マン(=人類)博士が、人類の代表役なのに、裏切り者だとか、マーフが、マーフィーの法則の体現する存在だとか言う話は前回しました。
他にもいろいろあります。たとえば、アメリア・ブランド博士(アン・ハサウェイ)。アメリアは、おそらく、アメリア・イアハート(女性としてはじめて大西洋を横断した飛行士)から。
Lazarus missionの、ラザロとは、新約聖書に登場するユダヤ人の男性のこと。彼は、クーパーが「一回死ななきゃならないのか」などといった発言をしている通り、彼は病死してしまいますが、イエス・キリストにより蘇生したとされています。地球に住む人々を他の惑星へと移住してもらうことで、彼らは「蘇生」すると考えてもいいし、または、一旦彼らは絶滅する他ない(プランBがありましたので・・・)という意味も読み取れます。
Endurance号というのもありましたが、あれも「持ちこたえる」という意の言葉で、少し皮肉になってしまっています。
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