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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

映研作品感想まとめ

この前の大阪大学での学園祭で見させてもらった阪大映画研究部の作品の一部の感想をツイッターで上げたので、それの加筆修正をここに転記します。

 

一本目 "HERO" 

 自分の生き方に悩み、ヒーローへの願望を抱く一大学生がある日超能力を得る。ただ、本人が望んだようには使えないようで・・・?という話。白字でネタバレしてしまいますが、結局自分の能力を存分に使えないまま、それも失ってしまうが、結局は身近にいる人を助けてあげることが”ヒーロー”だということに気づく。

 主人公は容姿の面で劣等感抱きそうにないので、何故そこまでして、普通の人からヒーローになりたいという飛躍が成立するのかよく分からなかった。なので、いまいち本人の苦悩に感情移入できないし、最後まとめとして自分の心境を全部言葉にしてしまう必要はなかったように思えた。

 ただ、特殊効果ってここまで出来るんだ、と思ったし、平凡な生徒にも希望を持たせてあげるエンディングは、だいたい見当がついていてもありがたい。”青い鳥”の教訓に近いのかも。

二本目”冷たいドナー”

 


【自主制作映画】冷たいドナー【大坂大学映画研究部】 - YouTube

 正体不明の声により、自分が生きるために人殺しを強いられる主人公が、自殺願望の女性を殺していいか尋ねる。ニヒルな笑いがこぼれそうな展開だが、殺伐とした画面とサスペンスを増幅させるカメラワークによってその予知を与えない。

 また、二重のフラッシュバック(若干蛇足な感もあったが)や、グロシーンはあえて効果音だけで済ませているところなど、映画的に面白い演出も見受けられた。(ちゃんと悪人っぽい主人公の服装は黒で、その被害者になるであろう女の子は白のパジャマを着ていたりと、視覚的にもキャラ設定は明確)

 そして、最後にどんでん返し(普通の上映時間の映画では反則技だが、学生の短編だから許されることを最大限に活用)が来るし、タイトルの意味もそこで明らかになる。随時心境を語ってはいたが、プロットの推進力によりカバーしている感があった。一種のサスペンス・スリラーものとして、見ごたえあった。

三本目”映画部の山田くん”

 これは友人が監督した超短編。阪大の映画部の前田氏に密着したドキュメンタリー(フェイクの要素も入ってくるが)。あふれんばかりの映画製作への情熱のせいで、ヘンテコな行動に出てしまう彼を面白おかしく観客に紹介する。

 監督曰く本来は10数分の短編だったそうだが、それでは長いということで5分未満(?)の長さに。ただ、それは元から彼のことを知っている人たちの観点からの話なので、彼を初めて知る観客からすれば、より長いバージョンの方がより笑えたかも。

Writer's Block (物書きのスランプ)というものは、結構様々な映画でおいしいネタとして扱われてきたので、そこをもっと引き伸ばしたら、ペーソスも兼ね備えたユーモアが強調されたかもしれない。突然予告編にいったのもちょっとびっくりはした(まだ作中の映画は実際完成していないらしい)。いいコメディーでしたが。(補足:実際撮影したものはもっと長いそうなので、再編集バージョンが発表されるそうで)

四本目”TIME MACHINE BABY"

  好きな女の子に告白しても成功しないので、一日分だけタイムマシンで戻ることを延々と繰り返し、彼女の望むであろう男になるべくはかなくも努力を続ける男の話。延々と同じ日を過ごし続けるという意味で、『恋はデジャ・ブ』の筋に少し似てます。最終目標は女性に好きになってもらうという意味でも。

 同じ日を繰り返すのはいいが、それを数万回やってしまうところにクスリとくる。洋画のコメディーというより、同じ下りの反復でもって笑いをつないでいく手法は日本の漫才に近い。オチには思わず「やっぱそうなんかーい」とツッコミを入れたくなった(笑)


【自主制作映画】THE TIME MACHINE BABY【大阪大学映画研究部】 - YouTube