TOKYO TRIBEを西宮のTOHOシネマズで観てきた。梅田では上映していないし、まだ一週目なのに一日二回しかやっていないのには、若干驚いたが、これが園子温監督作品史上、最大のヒット作らしい。けれども、劇場自体は70席しかないし、入ってたのも12人。大丈夫かよ(笑)と思いつつも映画が始まった。
鈴木亮平・主演『TOKYO TRIBE』、園子温史上“最高興収”記録を達成! | シネマカフェ cinemacafe.net
とにもかくも、娯楽に徹した園子温イズムが全編で感じられる快作だ。
冒頭、ずっとカメラは近未来のトーキョーに住む人々を写していく。そこで、ストーリーテラーの染谷将太扮するMC SHOWが登場。ご丁寧にラップで街の説明をしてくれる。そこから、パトカーに乗った女性警官が車から降りてくる。ここまでの数分間(3-5分?)は、園作品によく見られるワンカットの長回しだ。ここで正直僕はグッと映画に集中できるようになった。ここからは映画は加速度を増していく。正直ここから、体感時間はどんどん短くなっていく。
一応、言っておくが、この映画は全編ラップではなく、割と、地のセリフが多い。むしろ、セリフが全部ラップだと正直見ているのも辛かったと思う。ラップに字幕もちゃんと出てくる。結構、割と親切な映画なのだ 笑 (わざわざ悪役のメラが、トーキョーのトライブ(族)を各々説明してくれるし)
好みは分かれようが、この映画の特徴としては、
長回しと爆音≠映画=アトラクション ということに尽きるだろう。
監督が、爆音での上映を手紙で懇願した(らしい)ということもあって、普段よりも大音量だ。ヒップホップの重低音がよく腹に響いてきた。一応ヒップホップミュージカルなので、この音量は丁度いいくらいだった。やはりこれくらいの音量はないと。
それに、先述したように、長回しで、ほぼセットで出来たトーキョーの中をグルグルとカメラが回ったり、音がした先をサッとカメラが追う。そして、迫力あるアクションをワンカットで流れるように撮っていく(オールドボーイの有名なワンシーンにも負けない・・・かも)。大音量も相まって、もはやこれは映画ではなくアトラクションを体験しているような感覚であった。いわば、USJやTDLのような、映画の世界観に乗っ取ったライド感覚だ。多分、この映画の醍醐味はここにあるんじゃないかと思う。(ちなみに、この効果によって、生まれて初めて映画館の中で乗り物酔いのようになったことも事実だ 笑)
少しだけ言及しておくと、スカーフェイスの"The World is Yours"の地球儀へのオマージュ(そして、スカーフェイスことトニーモンタナは、大物ヤクザブッパを演じる竹内力!笑)や、ブルース・リーのジャンプスーツを見て、「キルビル?」といわれたりと、他の映画ネタもちょくちょく入ってきてそれも面白い。
・・・・色々言ってきたが、もちろん批判する材料がない訳ではない。
やはり2時間で話を完結されたことで、ストーリーの展開に物足りなさを感じるところはあったり、「え、あれ、最後、ヒロインは!?」という問題もあるし(これは中盤くらいで彼女の秘密が明らかになる)
悪役のメラが主人公カイに悪意をむき出しにする理由も、明らかになった時は腰抜かしたしw(というか、明らかになる前に、普通に見てれば容易に推測できる)
ただ、そういうことをだらだらという映画ではないのだ。綿密なプロットとか、圧倒的な芸術性とか、SONO印の娯楽作に求める方がお門違いなのだ。(あと音楽がなってないとか 笑)
頭を空っぽにして、この作品が与えるものを真っ向から受け取ればいいのだ。ありきたりの娯楽映画に飽きた人には一押しの映画!
以上!!
(でも、これがR15ってまだまだ日本は優しいな・・・)
『TOKYO TRIBE』特報 (2014) HD - YouTube