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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

洋画

タクシードライバー的映画のススメ(『ジョーカー』を理解するために)

マーティン・スコセッシ監督の『タクシー・ドライバー』という傑作映画がある。 タクシードライバー [Blu-ray] 出版社/メーカー: ソニー・ピクチャーズエンタテインメント 発売日: 2012/11/21 メディア: Blu-ray 購入: 1人 クリック: 6回 この商品を含むブロ…

ベイマックス Big Hero 6 感想・解説

BIG HERO6 ベイマックス またもやディズニーが傑作を作った!去年観ていれば、間違いなくトップ10に入れてたであろう出来だったと思う。 プロット自体にはそこまで新鮮味があるわけではない。でも、娯楽映画に必要とされるものを惜しみなく詰め込…

The Fault in Our Stars きっと、星のせいじゃない。謎解き・徹底解説

前回は、この映画の紹介(きっと、星のせいじゃない。~単なるティーン映画扱いするには惜しすぎる - アメリカンにアメリカ映画を観る!) をしましたが、今回はその解説版です。 結末部分に触れている箇所がありますので、未見の方はご承知の上で。 『シェ…

ヘザース/ベロニカの熱い日

『ヘザース/ベロニカの熱い日』(1989年・米)は、DVDのカバーだけ見ると、普通の青春モノに見えるが、これは至ってブラックなコメディだ。 高校生ベロニカは、いずれも名前をヘザーというお嬢様生徒の3人組、“ヘザース”に気に入られようと彼女たち…

アメリカン・スナイパー 解説・分析 ネタバレあり

(ネタバレなしの感想→アメリカン・スナイパー 感想(ネタバレなし) - アメリカンにアメリカ映画を観る!) (音声解説もしています↓) ポッドキャスト アメリカン・スナイパーの”モヤモヤ”を考える(音声解説) - アメリカンに映画を観る! ポッドキャスト…

きっと、星のせいじゃない。~単なるティーン映画扱いするには惜しすぎる

『きっと、星のせいじゃない。』を観てきました。 映画『きっと、星のせいじゃない。』予告編 - YouTube アメリカのティーン向け小説を映画化したものです。 端的に言えば、ティーンの難病モノというカテゴリー下に入る映画なのですが、これがなかなか深い。…

バベットの晩餐会~宗教と美食

『バベットの晩餐会』を観た。1987年のデンマーク映画で、その年のアカデミー賞最優秀外国語映画賞にも輝いている。 フランスから逃げてきたバベットが、デンマークの敬虔なキリスト教徒の老姉妹に宝くじのお金全額を使って一晩限りの晩餐を振舞う話。前…

原題と邦題について~『17歳の肖像』から『アナ雪』まで

『17歳の肖像』(英・2009年)を観た。アカデミー作品賞の候補作にもなった作品。 前々から好評なのは知っていたので、ふとレンタルして観てみたが、これが非常に面白かった。 ストーリーは単純で、舞台は1961年で、イギリスの名門オックスフォード大…

羊たちの沈黙 分析・解説 The Silence of the Lambs

羊たちの沈黙は、見る者を釘付けにするような良作のサスペンス映画だと思う。 今回は、表層的な話とは別にフェミニズム的な観点(要は女性目線)から映画を分析したい。 (参考:現代アメリカ映画入門) FBIアカデミーの優秀な訓練生クラリスは連続誘拐殺人…

イカとクジラ~アメリカ映画の中の”離婚”とは?

『イカとクジラ』という2005年の映画を見た。監督は、ノア・バームバック(『ライフ・アクアティック』『マダガスカル3』脚本。最近では『フランシス・ハ』監督)。 単に短い映画が見たいと思って選んでみたら、結構面白かった。 80分という尺の中で…

タイタニック論 徹底解剖!(後編)

「壁」は崩されなかったのか? この章では、先述した壁はこの映画全体で「全く」崩れることはなかったのだろうか、という点に焦点を絞りたい。まずは、Roseの心境の変化の過程を振り返る。自明なのは、彼女が婚約者を愛していなかったことだろう。Jackに、”d…

タイタニック 徹底解剖!(前編)

映画『タイタニック』はジェームス・キャメロン監督による1997年のアメリカ映画である。膨大な制作費が話題を呼んだことも人々の記憶に残っているであろうこの作品は、史上最高額の興行収入を記録した。そして、タイタニック号沈没という史実を設定とし…

ソルジャーボーイ鑑賞ノート

『ソルジャー・ボーイ』を観た。72年のアメリカ映画だ。まだ当時ベトナム戦争は終わっていなかった。そんな時期に撮られた、青春を戦争に奪われ、殺人マシンとなってアメリカ本土に戻ってきた”ソルジャー・ボーイ”たちのたどる末路とは。 GEOでレンタル…

”物書きスランプ”もののススメ

昨日、『セブン・サイコパス』を観て確信したのだけれど、 Writer's blockものは、ほぼ外れない。Writer's blockもの、つまり物書きが全く書けなくなって悪戦苦闘する話。 一つは、映画の中で、映画の脚本があーでもない、こーでもないと悩む姿が、入れ子構…

ガタカ鑑賞ノート

(ネタばれ注意) 『ガタカ』鑑賞 予想以上に面白い。ソーラーパネルの場面など、トランセンデンスを彷彿させる場面もあるにはあるが、当作品の方が断然面白い。 ☆Vincentの正体は元からばれていた? ドクターも、アイリーンも、彼の兄も感づいてはいた。 し…

2014年個人ベスト~”狼”から”酔っ払い”まで

いつのまにか2015年になってしまいました・・・ということで、過ぎ去りし日々を回想しつつ、個人ベスト(映画館にて鑑賞したもののみ)を5本ほどあげてみます。 1位『ウルフ・オブ・ウォールストリート』 ドラマ・サスペンス映画ももちろんいいのです…

もやもやする『ザ・インタビュー』騒動 

もう今年が終わろうとしてるが、その中で未だに『ザ・インタビュー』についてのニュースが、主要メディアで取り上げられている。 普段自分が観る映画というのは、古すぎたり、敢えてヒット中の邦画以外のものであったりするので、新聞や、テレビのニュースで…

Weekly Selections (12/23/2014) ”こんなクリスマス映画は嫌だ”3本立て

12月も、もう23日ということで、一癖も二癖もあるクリスマス映画を3本選んでみました。(定番のおすすめクリスマス映画も何本か最後にあげてます) 初級編『バッドサンタ』 告白するが、これは本当にさきほど観た映画。題名通り、酒と女に溺れる、どう…

フィールド・オブ・ドリームス(インターステラー元ネタ)父子の仲を野球で!

インターステラーの元ネタでもある『フィールド・オブ・ドリームス』。時折テレビで放映していることは記憶していたが、敢えて見るほどの映画だとは思っていなかった。ところが、意外に良作だった。原作小説の方は未読だが、アメリカ的な要素を非常に備えて…

『アバター』~強い女性にあこがれ続ける監督だが、その本質は?

今回取り上げる映画『アバター』は、その記録的な興行収入や、CGI論争(登場人物のほとんどがCGならば、役者は要らないのではないか、という議論)が注目の中心であった印象があるが、今回は、監督・脚本を努めたジェームス・キャメロンの作家性に着目…

アタック・ザ・ブロック~不良少年vsエイリアンの血みどろバトル

『アタック・ザ・ブロック』 サクッと見れる一本。2011年の英映画(ぜんぜんアメリカ映画じゃないです、すみません・・・)。 エイリアンが南ロンドンを襲って、不良少年たちが立ち向かう話。 当初は、どうも感情移入できない、「がきんちょども」。ただ…

Weekly Selections (11/29/2014) 『インターステラー』『6才のボクが~』

『6才のボクが、大人になるまで。』 映画『6才のボクが、大人になるまで。』予告編 - YouTube (原題:Boyhood. 少年期の意) 邦題は最悪だけど、映画自体は、かなりの傑作。主人公の男の子が12年間というリアルな時を経て成長していく様子が、不自然のな…

ショート・ターム 後編 ネタバレあり

Short Term 12(ネタバレなし・前編) - アメリカンにアメリカ映画を観る! Short Term 12(ネタバレなし・前編) - アメリカンにアメリカ映画を観る! ↑の続きです。 ネタバレありです。

Short Term 12(ネタバレなし・前編)

昨日、『ショート・ターム』を観てきた。 原題はShort Term 12。Short termは”短期”の意で、12は12ヶ月のことを指す。Short Term 12は家庭内の問題を抱える短期の施設のことだ。 細かいことには触れないが(ネタバレ含む感想はまた後日)、かなりの良作…

Woody Allenなるものを求めて~『ミッドナイト・イン・パリ』論

今回は、5000字近い論考なのですが、大学の授業で書いたものを少し修正したものです。 ”Midnight in Paris”は、ウディ・アレン監督の41作目にして、最大のヒット作となった。作品は、アカデミー作品賞にノミネートされ、脚本賞受賞に輝いた。映画評論家…

「本当は怖い」メリーポピンズ 

『メリーポピンズ』は、すごく今でいう女性差別的な映画だった!?。。。という内容の記事読みました。ちょっとまとめてみます。http://t.co/vswvhW7NJt— アメリカンに映画を観る! (@ykondo457) 2014年9月26日 メリーポピンズがそもそも乳母として、バンク…

オールド・ボーイ(オリジナル)は実は・・・・・・の変奏曲だった!

(ネタバレ注意!!) 日本のマンガを原作とした、韓国発の衝撃作・・・とでも言えば、いいだろうか、この映画はご存知の方は多いと思うが、見る者に強烈な印象を与え、不快感を押し付けることも辞さない映画だ。 この映画の魅力的な点をいくつか挙げるとす…

笑いが武器のメタ戦争映画 トロピック・サンダー 愛すべきおバカ映画 (3) 

ベン・スティラーと言うと、自身監督・主演を努めた『LIFE!』や、『ナイト・ミュージアム』を連想するかもしれないが、個人的に彼の映画で一番好きなのは、『トロピック・サンダー』だ。 落ち目のアクション俳優スピードマン(ベン・スティラー)は、戦争大…

行方不明映画の元祖?ヒッチコック『バルカン超特急』

なんと、『バルカン超特急』は、1938年の映画。 80年近く前の映画だが、その魅力が衰えることはなかろう。 国際列車に同席していた婦人が突如消えてしまうが、周りの人間は彼女の存在を否定。彼女は元からいなかったことになっていることが発覚する。…

SF談義 深くて面白い映画って?(前編)

SFというジャンルは、奇抜な設定が可能なゆえ、人類全体レベルの大きな問いを投げかけることのできるものだと言える。「人はいかに生きるべきなのか?」「人間が進化するということとは?」といったような哲学的命題を観客に投げかけるのは容易であろう。 …