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アメリカンに映画を観る!--- 洋画見聞録

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

アクション

まさかの"Somebody That I Used to Know" 『ザ・ガーディアン/守護者』 

思いがけない形で、とても懐かしい曲を映画館で聞くことになった。 "Somebody That I Used to Know"である。2011年の曲なので、10年以上も前のヒットだということで驚いた。『ザ・ガーディアン/守護者』という韓国映画でこの曲がいわばライトモチーフとして…

2023年の映画ベスト10

2023年のベスト10は、 ①バービー ②パーフェクト・ドライバー 成功確率100%の女 ③別れる決心 ④フェイブルマンズ ⑤ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい ⑥ベイビーわるきゅーれ 2ベイビー ⑦SHE SAID/シー・セッド その名を暴け ⑧Blue Giant ⑨スパイダーマン:アク…

2023年10月の3点

『キラーズ・オブ・ザ・フラワームーン』(マーティン・スコセッシ監督、アメリカ) 20世紀の白人による先住民の簒奪に迫る題材、200分を超える長尺、Apple配信映画としては珍しい劇場公開といった要素が揃う映画もなかなかないだろうし、本編自体に引き込ま…

ザ・クリエイター/創造者 ベトナム戦争ものをSFで

『ザ・クリエイター/創造者』は近未来を舞台とし、AIを敵視する西側諸国(主にアメリカ)と、AIとの共存を標榜するニューアジアとの戦争が続く中、元特殊部隊のジョシュアが本来は暗殺対象であるAI少女を守るべく奮闘するSFアクションである。 本作がベトナ…

死神ウィックの最終章『ジョン・ウィック:コンセクエンス』

『ジョン・ウィック:コンセクエンス』を見た。前作は「パラベラム」、本作は「コンセクエンス」。シリーズ4作目となるこの映画の原題は"John Wick: Chapter 4"なので、"John Wick" "John Wick: Chapter 2" "John Wick: Parabellum" "John Wick: Chapter 4"…

機械仕掛けの「運命」:アルゴリズム対スパイダーマン(たち)

ykondo57.hatenablog.com (↑の続き)その二作品とは、スーパーヒーロー映画『ザ・フラッシュ』と『スパイダーマン:アクロス・ザ・スパイダーバース』のことである。前者ではフラッシュが新たに発見した自分の能力を使って過去に戻って母親の死を食い止めた…

2023年6月の3本『アクロス・ザ・スパイダーバース』『ザ・フラッシュ』『ウーマン・トーキング』

『スパイダーマン アクロス・ザ・スパイダーバース』(ホアキン・ドス・サントス、ケンプ・パワーズ、ジャスティン・K・トンプソン監督、アメリカ) www.youtube.com 冒頭のグウェンパートだけの映画も見てみたい。 『ザ・フラッシュ』(アンディ・ムスキエ…

『ブルース・ブラザーズ』をカーアクション映画として見返す

ykondo57.hatenablog.com 以前(↑上記参照)の記事に書いたように、アントマンの新作を見て、ハイスト映画を無性に見たくなり、その後数日くらいは未見だった映画をいくつか見て「口直し」をしたものだが、先日BSプレミアムにて放映していた『ブルース・ブラ…

『人質』(2021) このファン・ジョンミン「本人」の誘拐脱出劇はメタ的スリラー

www.imdb.com ファン・ジョンミンが本人役として誘拐されて、知恵と腕っぷしだけで脱出しなければならないーーーという、奇抜な設定には当初半信半疑だったものの、やはり俳優ファン・ジョンミンを巡る評価が結構本筋と関わっていたのは良かった。 最後は2年…

『ブラック・ウィドウ』における楽曲「アメリカン・パイ」の意味

『ブラック・ウィドウ』を見ていて、驚いたと同時に強い感銘を受けたのは以下の曲が回想シーンで使われていたからだ。 www.youtube.com 『アメリカン・パイ』は1971年にアメリカのシンガー・ソングライター、ドン・マクリーンによるヒット曲である。フルバー…

『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』 はすでに「成功」だと言える理由

日本では、『ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 Birds of Prey』(以下"Birds of Prey")の公開を3月まで待たないといけない。しかし、鑑賞前からすでにこの作品は「成功」を収めていると言える。 その理由は3つ。一つは、予告編が素晴らしいから。『スーサイド…

『エンドゲーム』短評紹介 (ネタバレなし)

以下は『エンドゲーム』短評の拙訳だ。コンパクトに注目点がまとまっていたので紹介する。 https://www.vox.com/culture/2019/4/26/18518556/avengers-endgame-review 待望の「アレ」がやってきた。MCUの「インフィニティ・サーガ」の"非"公式な大フィナーレ…

2018年の映画総括 下半期 (ブリグズビー、ボルグ/マッケンロー、サーチ、1987など)

下半期の映画について。 前回の投稿に続き、まず2018年の映画ではない話からになってしまう。去年公開の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は、「賛否両論」という表現が付きまとう映画だった、と個人的には記憶している。その「否」の意見が、建設的な批…

2018年の映画総括 上半期 (ブラックパンサー、シェイプ・オブ・ウォーター、ペンタゴン、アイ、トーニャなど)

今年も残りわずか。とりあえず今年の前半を振り返ってみたい。 と言いつつも、厳密には2017年12月に封切となった松岡茉優初出演作『勝手にふるえてろ』についてまず言及したい。(この映画、年は跨いでいるので一応2018年の映画ということで話を進める) 本編…

鏡張りの部屋での格闘シーン

映画をランダムに見ていると不思議にも点と点とが繋がることがある。その中でも気づく度に嬉しくなるのが、鏡張りの部屋で闘うというシーンだ。 恐らく最も有名な例はブルース・リー主演の伝説的名作『燃えよドラゴン』だと思う。 www.youtube.com でも、こ…

『デンジャラス・プリズンー牢獄の処刑人ー』

前から海外サイトで紹介されてたのをチラっと見たことがあって印象に残っていたけど、まさか日本で観られるとは思ってなかった。この点に関してはTBSラジオアフター6ジャンクションで取り上げてくれていたことに感謝。 https://www.amazon.co.jp/dp/B07DGMK1…

『ミッション:インポッシブル フォールアウト』という現象

トムが起きる!トムが打つ打つ撃つ!落ちる落ちる落ちる! トイレで殴る蹴る殴られる!トムが走る走る走る!跳ぶ跳ぶ跳ぶ!走る走る走る!跳ぶ跳ぶ跳ぶ!また飛ぶ!上る上る上る!ヘリで飛ぶトム!トムトムトム!そして落ちる!トムトムトム! 大画面に映っ…

スピルバーグの『激突!』の意味

『ブリッジ・オブ・スパイ』が公開中だからなのか、気づいたらスピルバーグの出世作『激突!』を借りていたので、観てみた。 ストーリーは至ってシンプルで、先を急ぐセールスマンが追い抜いたトレーラーに執拗に追いかけられ、命まで狙われるというものだ。…

海外だとスター・ウォーズシリーズの最高傑作は何なの?

もうエピソード7の公開まで一か月切った今ですが、スター・ウォーズ旧3部作及び新3部作の内どれが最高傑作とされているのでしょうか。Imdbという英語圏最大の映画レビューサイトから探っていきたいと思います。 ざっくりとリストアップしてみると、以下の…

ポッドキャスト第一弾 マッドマックス怒りのデス・ロード解剖~コメディ映画?フェミニズム?赤と青の意味?

とうとう出来ました。ソフト化を記念して、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』についてディスカッションしました。 http://feeds.soundcloud.com/users/soundcloud:users:32797342/sounds.rss (←スマホならそのままポッドキャストに登録できます) アメ…

キングスマン解説~幾層にも重なる教会シーンでの黒い笑い

『キックアス』『X-Menファーストジェネレーション』監督マシューヴォーンが手掛けた『キングスマン』は相変わらずのブラックユーモアまみれの、それでいて正攻法の傑作スパイ・アクション映画だと思う。 今回は、あの教会シーンでかかっていたあの曲の意味…

マッドマックス再訪

幸運にも、『マッドマックス 怒りのデス・ロード』DVD・ブルーレイリリース記念の試写会に行ってきた。ブルーレイ上映なので、画質の点で序盤は若干気になったものの、本作に再びのめりこむのにはさして時間はかからなかった。 当作品に関しては、来週に…

猿の惑星 新世紀から一年

気づけば、あの『猿の惑星:新世紀』からもう一年が経つ。 このブログで感想はまだ書いていなかったものの、かなりの傑作だった。猿対人間の抗争の構図に、人間社会における(あるいは国際社会における)避けられなかった闘いの構図を見出した人々は多くない…

アントマン レビュー

”アントマン”を観てきた。 Marvel Cinematic Universeの第二弾がこれで終わりらしい。(ちなみに第一弾はアイアンマンから始まり、アベンジャーズまで)期待通りの良作で、まさに宇宙のごとく拡張することを止めないマーベルの作品群が量産されることにうんざ…

『インサイド・ヘッド』Inside Headを観て(レビュー)

遅ればせながら、ピクサーの最新作『インサイド・ヘッド』を字幕版にて鑑賞。この夏休みの新作ラッシュによって、吹き替え版ならまだしも、字幕版がほとんど上映されていないことに気づいて、急いで観て来た。 マッド・マックス試論(解説・分析) - アメリ…

Weekly Selections (07/19/2015) アベンジャーズ、この夏観たい映画特集など

(映画)『アベンジャーズ:エイジ・オブ・ウルトロン』 www.youtube.com アイツらが帰ってきた!今回もケンカが絶えない!おかげで世界は大変なことに! (ポッドキャスト)TBSラジオ デイキャッチ 宮台真司 7/19(金) デイ・キャッチ 宮台真司「観てな…

マッド・マックス試論(解説・分析)

以下の内容以外のこともポッドキャストで解説しています。 アメリカンに映画を観る!! YK Project テレビ番組/映画 ¥0 『アナと雪の女王』が、その驚異的な観客動員数のみならず、かなり映画評論が活発であった(言っておきたいが、だからといってその作品…

Weekly Selections (07/05/2015) 最高にマッドな世界を考える~『マッドマックス4』他

久しぶりに一週間を通して、興味深いと思ったものを選びました。媒体は、SNS、映画、ポッドキャストと敢えてばらばらにしてます TBS RADIO 文化系トークラジオ Lifewww.tbsradio.jp 今、人文学が最高に「ヤバい(元の意味で)」ことを受けて、先月の『文…

アベンジャーズ 備忘録

昨日、金曜ロードショーで『アベンジャーズ』の再放送があったので、後半だけ観た。 たまむすびで町山智浩氏が語るように、この映画の醍醐味は、世界に点在するスーパーヒーローたちを集めて、この一癖も二癖もある連中をどうにか一つのチームとしてまとめる…

チャッピー 失敗作か否か?

『チャッピー』を観てきた。『第9地区』『エリジウム』で知られる二―ル・ブロムカンプ監督によるSF映画だ。 正直、海外では、アパルトヘイトを、エビ型エイリアンになぞらえて描いた、傑作『第9地区』と比べて、見劣りしてしまうという、批評が多かった…