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ポークとビーンズ

主にアメリカ映画・文化について書きます。たまに関係なさそうな話題も。

スパイダーバース (2019年上半期傑作選①)

2000年代以降から当時の映画を観てきた人たちは、スパイダーマン映画史の生き証人であると言ってもいいだろう。サム・ライミの「スパイダーマン3部作」から始まったこの歴史は、マーク・ウェブ監督によるリブート、マーベル・シネマティック・ユニバース(MCU…

『エンドゲーム』短評紹介 (ネタバレなし)

以下は『エンドゲーム』短評の拙訳だ。コンパクトに注目点がまとまっていたので紹介する。 https://www.vox.com/culture/2019/4/26/18518556/avengers-endgame-review 待望の「アレ」がやってきた。MCUの「インフィニティ・サーガ」の"非"公式な大フィナーレ…

ある一つの終わり エンドゲーム鑑賞後の所感 (ネタバレなし)

一映画ファンとして常に興味を持つのは、一連の映画作品からなるシリーズないしジャンルの「終わり」だ。 1969年公開の西部劇『ワイルドバンチ』は、時代遅れのアウトローたちの末路を衝撃的なラストのアクションシーンでもって描き切った作品だった。本作は…

アカデミー作品賞受賞作『グリーン・ブック』前情報(そんなに「いいハナシ」なのか?)

海外のポッドキャストを普段からよく聞いているのだが、中でも毎週更新が待ち遠しい番組が"Still Processing"で、性的マイノリティ&黒人という二重の意味で少数派の男女二人(Jenna Worsham & Wesley Morris)が、アメリカのポップカルチャーが今日の社会にど…

備忘録:ゴダールの新作はどうなっているのか

ジャン・リュック・ゴダールの新作『イメージの本』が日本で一般上映される日もそう遠くはないはず、なのだがいまいちどういう映画なのか分かっていなかった。そこで、たまたま自分がぶつかった情報を軽くまとめてみた。 まず始点は蓮實重彦。以下のツイート…

ディザスター・アーティスト 映画の中と外

The Disaster Artist Teaser Trailer #1 | Movieclips Trailer 映画の中 アメリカコメディ界の巨匠、ジャド・アパトーが世に問うた『40歳の童貞男』を「ブロマンス映画」(男友達の友情映画)元年とするならば、はや15年近くが経過したことになる。今なお同…

『ソウル・サーチング』(ソウルへGO!, Seoul Searching)

友人に勧められてNetflixにて鑑賞。外国で生まれ育ったティーンが80年代の韓国でサマーキャンプに参加する群像劇。一癖も二癖もある人たちが、盛大にハメを外してバケーションを満喫する中、徐々に自分たちが隠してきた側面も見せるという展開はアメリカ青春…

2018年の映画総括 下半期 (ブリグズビー、ボルグ/マッケンロー、サーチ、1987など)

下半期の映画について。 前回の投稿に続き、まず2018年の映画ではない話からになってしまう。去年公開の『スター・ウォーズ/最後のジェダイ』は、「賛否両論」という表現が付きまとう映画だった、と個人的には記憶している。その「否」の意見が、建設的な批…

2018年の映画総括 上半期 (ブラックパンサー、シェイプ・オブ・ウォーター、ペンタゴン、アイ,トーニャなど)

今年も残りわずか。とりあえず今年の前半を振り返ってみたい。 と言いつつも、厳密には2017年12月に封切となった松岡茉優初出演作『勝手にふるえてろ』についてまず言及したい。(この映画、年は跨いでいるので一応2018年の映画ということで話を進める) 本編…

テラスハウス私論ー軽井沢編再始動を記念して

テラスハウス軽井沢編の最新話が、今日Netflixで先行配信されました。Netflixの映画やドラマはジャンルを問わず広く見ていたつもりでしたが、この番組だけはどうも共感できる気がしなかったので、少し敬遠ぎみでした。 ところが、最近薦められて軽井沢編を見…

星野源の『Hello Song』はStuffへのラブレター

星野源の"Hello Song"が満を持してフル音源公開された。星野源のオールナイトニッポン(ANN)が初オンエアだったので、解禁は火曜日深夜(日付は11/21(水))。こっちも正直解禁のことを知らず、Creepy NutsのANN0*1 で知って急いで本家のラジオの方で聞き直し…

『マンディ 怒りのロード・ウォリアー』 

タイトルこそチャーミングな感じがするが中身はショッキングなシーンの連発で「怒りのロード・ウォリアー」という副題から連想する『マッドマックス 怒りのデス・ロード』が余すところなく発する快楽的なスピード感の対極を行くドゥーム・メタルのような痛ま…

和歌山カレー事件と、大人気ポッドキャスト番組『シリアル』

アメリカ映画の話ではないです、という断りをしょっちゅう入れている気がする本ブログだが、今回もあんまり関係なさそうな話(でも自分の中では結構つながってると思っている)を二つほど。 「和歌山カレー事件」と聞いて、ふと記憶がよみがえる人は決して少…

鏡張りの部屋での格闘シーン

映画をランダムに見ていると不思議にも点と点とが繋がることがある。その中でも気づく度に嬉しくなるのが、鏡張りの部屋で闘うというシーンだ。 恐らく最も有名な例はブルース・リー主演の伝説的名作『燃えよドラゴン』だと思う。 www.youtube.com でも、こ…

『デンジャラス・プリズンー牢獄の処刑人ー』

前から海外サイトで紹介されてたのをチラっと見たことがあって印象に残っていたけど、まさか日本で観られるとは思ってなかった。この点に関してはTBSラジオアフター6ジャンクションで取り上げてくれていたことに感謝。 https://www.amazon.co.jp/dp/B07DGMK1…

2018年9月の傑作Netflixドラマ 2) ボージャック・ホースマン シーズン5

Netflixのオリジナルコンテンツは本当にすごい。巨額の投資から成立しているこの囲い込み戦略は間違いなく成功していると思う。その中でもあまり日本で話題になっていないので結構残念なのがBojack Horsemanというアニメ・シリーズ。 www.honeyee.com (ちゃ…

2018年9月の傑作Netflixドラマ 1)アトランタ

最近見終わったNetflixのドラマがどれも面白かった。とりあえず『アトランタ』について紹介する。 俳優、脚本家、ミュージシャンなど多方面で活躍するドナルド・グローバーが出演するコメディドラマの『アトランタ』はシーズン1がNetflixで見られるようにな…

Searchingの先駆け的Modern Family傑作回

全てがPC画面内で展開するスリラー映画Searchingが話題のようだが(もちろん、というか順当に未見)、このニュースを知ったとき、どこか既視感があった。 それもそのはず、Modern FamilyというアメリカABCテレビのシットコムが一回全く同じようなことをやっ…

芝山幹郎の映画評論・コラム連載媒体まとめ

著名な映画評論家である、芝山幹郎が今現在どこでどのような連載をもっているか、少し調べてみました。完全に網羅出来ているかどうか自信はありませんが、少なくとも結構な数は見つかりました。 ----------------------------------------------------------…

『シング・ストリート』と『バック・トゥ・ザ・フューチャー』

遅ればせながら『シング・ストリート』(アイルランド、2016年)を観ました。音楽と人間関係における喜びにあふれた映画で、観ていて楽しかったです。 このブログはアメリカ映画を主に扱うブログなので、一応アメリカ映画と絡ませて話を広げたいと思うのです…

『カメラを止めるな!』を語ることとは (ネタバレなし)

よくゾンビ映画は人種、経済格差など、社会問題を映し出す鏡として語られることがある。その論理でいくとゾンビ映画を語ることは、現在の社会を語ることになる。 同様に、『カメラを止めるな!』を語ることは、映画そのもののあり方を語ることになる。映画に…

ぴあアプリの黒沢清インタビューがすごい

表題通りの内容ですが、最近ぴあのアプリをダウンロードして使ってみています。 このアプリの一番の目玉は黒澤清の独占インタビュー。それも自分の映画製作背景について語るというものではなく、本人に影響を与えた10人の監督についての持論を展開するという…

本当は怖い『ナーズの復讐』~映画における「オタク」と「ミソジニー」

しばらく前に作った本ブログ内のカテゴリーで「愛すべきおバカ映画」というものを作っていたが、今の自分にはこの映画をそのカテゴリーには到底入れられそうにない。 80年代に量産されたアメリカの学園ものコメディ映画の中に、『ナーズの復讐』という作品が…

『ミッション:インポッシブル フォールアウト』という現象

トムが起きる!トムが打つ打つ撃つ!落ちる落ちる落ちる! トイレで殴る蹴る殴られる!トムが走る走る走る!跳ぶ跳ぶ跳ぶ!走る走る走る!跳ぶ跳ぶ跳ぶ!また飛ぶ!上る上る上る!ヘリで飛ぶトム!トムトムトム!そして落ちる!トムトムトム! 大画面に映っ…

『ウルトラセブン』「超兵器R1号」

町山智浩 on Twitter: "8月6日は『ウルトラセブン』の「超兵器R1号」も観て欲しい日です。宇宙軍拡競争を背景に、核実験で故郷を失ったギエロン星獣、それを倒さねばならないセブン……。お花畑での痛々しくなおかつ美しく悲しい戦いは三隅研次監督『剣鬼』の…

バンドCCRと映画とテイラー・スウィフト

自分の特に好きなバンドにCreedence Clearwater Revival (CCR)というバンドがある。60年代後半から70年代前半にかけて、ものすごいペースでアルバムをリリースし、次から次へとヒット曲を連発し、そしてあっという間に解散していったバンドだ。彼らの特色は…

ペンタゴン・ペーパー スパイスリラー✖女性のエンパワーメント映画

『ペンタゴン・ペーパーズ』、前評判に負けぬ面白さの映画だ。上半期見た映画を振り返ってみると、この映画の残した印象はとりわけ強いことに気づく。 というのも、言論の自由とは?真実とは?という問題を新聞社の人間たちが追求する映画だと思ってみていた…

プーチンが観た『博士の異常な愛情』

オリバー・ストーン監督と言えば、『プラトーン』(1986年)を筆頭に社会派映画を次々と作り出す名監督で、筆者も好きな映画は何本もある。ただ、最近彼がプーチン大統領に取材した映像がドキュメンタリーになったことに対して、懸念の声が聞かれるようになっ…

ようやくソフト化されたThe Spectacular Now

このブログでもよく取り上げるエドガー・ライト監督(『ベイビー・ドライバー』『ショーン・オブ・ザ・デッド』)が2013年のトップ10映画に挙げていた映画の内、全然日本にやって来ない映画があった。存在を忘れかけていたのだが、今になってソフト化されて…

暗黒街の顔役 80年前からあったバイオレンス+コメディ

ギャング映画好きなら必ず見たことがあるだろう『スカーフェイス』はこの映画のリメイク。それを念頭に置いた上で観てみたが、結構驚いた。 というのも、物語の前半が思ったよりコメディチックだったからだ。有名なマフィアのアル・カポネを下敷きにした主人…